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スポーツコラム だんまく

青馬、土俵を去る

2010/01/27

 ○…大相撲初場所。三島市出身で西十両筆頭の磋牙司(28)が9勝6敗と勝ち越し、来場所の新入幕を確実にした。一方、焼津市出身で西幕下58枚目の青馬(31)=本名・兼平龍誠=が引退し、約13年の力士生活に別れを告げた。けがと戦い続けた土俵人生だった。1勝5敗で迎えた初場所千秋楽。現役最後の一番を寄り切りで飾り、ファンから贈られたたくさんの花束を抱えての花道だった。テレビ中継画面の向こうで深々と一礼する姿に、思わず「ご苦労さまでした」と声を掛けたくなった。


 ○…焼津水産高校から安治川部屋(現・伊勢が浜部屋)に入門し、97年春場所で初土俵を踏んだ。最高位は東幕下9枚目。しこ名も兼平、安大葉、安秀、安大葉、青馬と変わったが、安大葉(あおば)時代の活躍は将来を嘱望させるものだった。本名兼平で取った前相撲は3連勝で一番出世し、初土俵の97年春場所ではいきなり全勝同士の決定戦を制して序ノ口優勝。翌場所、序二段に昇進し、6勝1敗。3場所目で三段目昇進と、出世街道を突き進み、98年夏場所には幕下に昇進した。


 ○…しかし、東の幕下12枚目で迎えた99年夏場所から2場所連続で全休。さらに1年後の夏場所、1勝3敗で休場すると、翌名古屋場所から再び2場所連続で全休。2002年も大阪場所で途中休場し、翌五月場所も全休。06年秋場所で右ひざの前十字じん帯や半月板を損傷し、途中休場から4場所連続という長期の全休リハビリも経験した。県内の熱心な相撲ファンから「安大葉(当時は安秀)の名前が見えないが引退したのか。期待の郷土力士だったが」と、心配する問い合わせを受けたのもこのころだった。


 ○…部屋に電話を入れ、本人に確認した。足の故障だけではなかった。「左目の視力がほとんどないんですよ」。網膜はく離だという。巨体がぶつかり合う世界だけに、目を傷める力士は少なくないという。だが、西序ノ口33枚目まで番付を落として臨んだ復帰の07年名古屋場所で6勝1敗の好成績を挙げると、さらに8場所連続で勝ち越し。自己最高位の幕下9枚目まで番付を上げたが、今度は5場所連続で負け越し。右足甲の痛みも乗りこえ、昨年11月の九州場所で1年ぶりの勝ち越し。不屈の闘志で度重なるけがを乗りこえたが、「ボロボロ」という体は右目も失明の危機に引退を決意した、という。


 ○…焼津・大富小時代は焼津少年相撲クラブに通い、焼津・大富中学では全国大会団体戦で活躍し、焼津水産高では国体出場も経験した。力士となっての特筆すべきは、9度の全休明けの場所をいずれも6勝1敗の好成績を残したこと。序ノ口、三段目での優勝も1度ずつ味わい、全勝同士の三段目優勝決定戦での苦杯もなめた。最後の場所となった初場所7日目には、なんと3度の物言いという珍事も経験した。千代の花戦は2度の取り直しの末、またも物言いがつく際どい勝負を制した。いろんな意味で「活字になる」力士だった。


 ○…小学校、中学校、高校と、常に静岡県内番付で横綱を張った。生まれは相撲大国の青森県。子供のころ、父親の仕事の関係で焼津市に移り住んだ。県内相撲どころの焼津市からは、31年ぶり4人目の角界デビューだった。入門先には生まれ故郷青森県の大先輩、元横綱旭富士の安治川親方(現伊勢が浜親方)を選んだ。引退後は焼津市に戻るという。体のケアを十分にした上で、ぜひ後進の指導に当たって、同市初の関取誕生の夢をつないでほしい。

 

(1/27 掛井 一也)




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