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2006年「スポーツコラムだんまく」

選手もファンも納得の試合を

2006/06/19

 ○…日本列島を包んだため息は、オーストラリア戦の逆転負けより大きかったかもしれない。サッカーのワールドカップ(W杯)1次リーグF組第2戦で、日本はクロアチアとスコアレスドロー。前回の日韓大会に続く1次リーグ突破の可能性は、ブラジルとの最終戦に2点差以上で勝つことを最低条件に、クロアチア-オーストラリア戦の結果次第となった。「わずかな望みをつないだ」「奇跡を信じる」-。日本国中の目は日本時間の23日午前4時に始まるブラジル戦に注がれることになった。

 

 ○…19日付の静岡新聞夕刊に掲載されたクロアチア戦の観戦記で、日韓大会日本代表コーチの山本昌邦氏は、「(W杯は)いいサッカーをすることより、徹底して勝ちにこだわるサッカーをする舞台」と評した。もっともだと思う。ただ、ファン心理からすれば、「せめて、いいサッカーをしてもらいたい」のだ。こだわるべき「勝ち」に不可欠な得点は、2試合を終え、ラッキーにも直接ゴールネットを揺らした中村俊輔選手のクロス1本。「W杯の舞台は厳しいということ」と山本氏も言う。ならばこそ、心から「惜しかった」と拍手を送れる試合を見せてほしいのだ。

 

 ○…1次リーグにおける戦いは、日本がW杯の舞台で何をつかみ、何を残すかの3試合だと思ってきた。その先に1次リーグ突破があるのであり、結果、願いかなわずとも、世界の記憶にとどまる試合をしてくれれば本望だった。果たして、過去2試合はどうだったか。走れないのか、走らせてもらえないのか。日本の組織だった速い展開は、「走る」ことで成り立つことは自明の理。中田英寿選手がクロアチア戦後の会見で語ったように、暑いや寒いは相手も同じこと。開幕前のドイツ戦がチームコンディションのピークだったとは思いたくないが、「走る」ことがベースなのを自認していたはずの選手が「走れない」としたら、酷暑以前に相当コンディションが悪いのではとも案じてしまう。

 

 ○…「途中で足がつっても、最後はピッチに倒れてでもいい。失うものはない。(ブラジル戦は)全力で戦う」とは、2試合連続で好セーブを連発したGK川口能活選手の言葉だ。韓国の踏ん張りは言うに及ばず、イタリアのミスにつけ込み引き分けに持ち込んだ米国、V候補のチェコを一蹴したガーナ、オランダを最後まで苦しめたコートジボワールなど、全身全霊のプレーが感動を呼ぶ。それでも、コートジボワールは1次リーグ敗退が決まり、ガーナと米国もE組3位と4位に甘んじている。それほど、1次リーグはし烈な争いの場である。「黄金の世代」が成熟期を迎えて臨んだ日本が、実力の半分も出し切っていない結果が、もどかしく、悔しい。選手もファンも納得の試合を見せてくれることで、ブラジル戦につなげた「わずかな望み」に初めて感謝したい。

(6/19 掛井 一也)

 

 「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。




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