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2006年「スポーツコラムだんまく」

ドイツに残した「4年間」とは

2006/06/23

 ○…日本サッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会は幕を閉じた。1次リーグ最終戦でブラジルに1-4で逆転負け。通算成績1分け2敗で、F組最下位に終わった。前回の日韓大会に続く決勝トーナメント進出に、わずかな希望を残した23日未明の攻防。連覇を狙うブラジルを相手に、まさにファンは一喜一憂し、選手は歓喜と沈黙を経験した。

 

 ○…試合後かなりの時間、中田英寿選手はピッチの中央であお向けになった。精魂尽き果てたのだろう。精神的支柱として、中盤のかなめとして奮闘した3大会連続の大舞台。自らの燃焼に反した不本意な結果に、去来する思いも大きかったはず。1次リーグの3試合。観る者に存在感、充実感を与えたのは、3試合ともに好セーブを連発したGK川口能活選手と彼の2人だけだったようにさえ思う。

 

 ○…今回の日本代表の中で2人は、10年前のアトランタ五輪でブラジルを破る「アトランタの奇跡」を経験していた。チーム全員が勝利に対する執念を一つにすることで、世界の強豪を倒せる事実を、その身をもって示し続けた。中田英選手は時に冷徹とも思えるほどにチームメートを叱咤(しった)し、川口選手は自ら初めてピッチで味わうW杯の勝利に全霊を傾けた。日本が海外フル代表とW杯で対等に渡り合うには、彼らほどに精神を研ぎ澄ませなければならないという現実を見た思いがする。

 

 ○…日本が初出場した98年フランス大会は3戦全敗。しかしながら、94年アメリカ大会アジア最終予選の「ドーハの悲劇」を糧に、フランス大会最終予選の「ジョホールバルの奇跡」につなぎ、日本サッカー史に輝かしい足跡を記した。1次リーグ最終戦で日本のW杯初得点を記録した中山雅史選手は、その後の接触プレーで骨折しながらも、交代選手枠を使い果たしていたため、最後までピッチに立ち続ける闘志を見せた。

 

 ○…前回の02年日韓大会は自国開催の大声援の中、1次リーグを2勝1分けの1位で通過し、ベスト16による決勝トーナメントまで進んだ。共催国の韓国は15度目のW杯で初勝利を挙げ、ベスト4まで勝ち上がって世界を驚がくさせた。それほどに自国開催、ホームゲームは選手を後押しする。このように、アメリカ大会予選から前回大会まで、それぞれの「4年間」が次大会の成果としてあった。

 

 ○…「W杯で戦える集団」となった日本が、初めて迎えた海外開催、アウエーゲームだった。では、日本がドイツに残した「4年間」は何だったのか。中田英、川口両選手の孤軍奮闘ぶりだけでは、あまりにも寂しすぎる。初先発で、先制弾が今大会唯一のFW得点となった玉田圭司選手をはじめ、今大会代表の中堅、若手はもとより、日本で戦況を見守ったすべての選手が、次回南アフリカ大会で「8年間」の積み重ねをぶつけてくれることを信じるしかない。

(6/23 掛井 一也)

 

 「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。


 




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