○…日本、韓国、メキシコのU-19(19歳以下)代表チームと静岡ユースが覇を競ったSBS国際ユースサッカー(SBS杯)の閉幕から2週間、今度は県内に欧州、南米、アジアの7カ国からU-12チームが県内に集った。2002年ワールドカップ(W杯)日韓大会の本県開催決定を記念して始まった第7回静岡世界少年サッカー大会だ。ボカ・ジュニオールス(アルゼンチン)の優勝で幕を閉じた大会の開幕前日、歓迎式典を伝えた静岡新聞は、各地域向けの「地方ワイド版」紙面も、6カ国のチーム滞在各市から届いた話題で飾られた。
○…裾野市のモロッコ「WACカサブランカ」、御殿場市の韓国・済州道選抜、静岡市のスペイン「RDCエスパニョール」、御前崎市のドイツ「ボルシア・ドルトムント」、掛川市のイングランド「ウェスト・ブロミッジ」。市役所訪問や地元児童とのミニゲームなど、届いた話題は「交流」に彩られた。紙面に弾けた選手の笑顔はあどけないが、所属クラブはそうそうたるもの。いずれ、W杯や欧州、南米リーグで活躍する選手もいるだろう。その時、彼らの記憶に「シズオカ」があるとしたら、静岡県民として誇らしいことである。
○…一方、韓国U-19代表の優勝で幕を閉じたSBS杯は、今年30回の節目を迎えた。静岡県高校サッカーの実力向上を目的に、1970年代当時、アジアで圧倒的な強さを誇った韓国高校チームを招いて始まった。その後、ユース年代の国際大会に衣替えし、多くの日本代表を輩出している。来日チームからも、昨年の欧州年間最優秀選手に輝いたロナウジーニョ選手を筆頭に、多くのトップスターが巣立った。今年のU-19も然り。特に、韓国のFWシム・ヨンソン、主将のMFパク・ジョンジンは近い将来、フル代表の中心としての活躍を予感させた。
○…かつて「サッカー王国」の名を欲しいままにしていた静岡県。各年代で日本代表に選ばれた出身選手は一様に、他地域を圧倒する国際経験を「静岡の強さ」の素地に挙げた。海外チームの招待大会とともに、海外遠征も静岡県が先べんをつけていた。海外チームとの対戦におくすることのない精神力、先進国からの技術の吸収-。プレーヤーである子供たちはもちろん、指導者もまた多くの成果を身につけていった。今でこそ、国内各地で国際大会が催され、海外遠征も珍しくなくなった。それでも、これだけの海外代表や名門クラブの少年たちが「ひと夏」に入れ替わり集う事実は、やはり国内屈指であり、海外における「シズオカ」の知名度の高さの証明でもある。
○…W杯日韓大会を3年後に控えた99年、韓国W杯事情の取材に赴いたことがある。その際、当地の有力紙、朝鮮日報から「これほどまで日本代表に静岡県出身者が多いのはなぜか」と“逆取材”された。後日、同紙は「シズオカは日本サッカーの母なる地」と題した特集記事を掲載した。静岡県内サッカーの長い「蹴球(しゅうきゅう)」の歴史をひも解いていた記事には、シズオカの強さの底流に、少年期からの豊かな国際経験の蓄積がしっかり指摘されていた。
(8/28 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。