○…先ごろ県営富士水泳場で行われた静岡招待スプリント。全種目50メートルで行われる「最速」選手権の女子自由形で、浦田奈々美選手(22)=東海洗機=が2連覇を果たした。筆者が彼女を取材したのは、清水チャンプに所属していた静岡女子商高(現・城南静岡高)時代。5年以上も前のことだが、力強い泳ぎと豪快な笑顔は、今でも忘れられない選手の一人だ。
○…福岡大を卒業し、今季は社会人1年生。8月の全日本実業団での優勝タイム26秒30には及ばなかったが、「今季最後の試合をいい形で終えられたし、今の時期にしては一番良かった」という26秒45で優勝。高校時代と変わらない笑顔で祝福に応える姿が、静岡新聞の紙面を飾っていた。高校時代の記憶が鮮明なのは、いずれ日本を代表するであろうという期待とともに、右ひじを痛めながら臨んだ2000年富山国体少年女子100メートル自由形決勝の印象が強いからだ。
○…高校2年生の浦田選手は、2時間前に行われた混合200メートルリレー決勝の引き継ぎで痛め、腕が曲げられないほどの痛みをこらえて臨んだ。全国トップクラスのスプリンターとして、前半の50メートルが勝負だった。しかし、折り返しは3位。無理もないと思っていたが、後半の踏ん張りで8位入賞。「タイムより入賞しか頭になかった。自分のミスで混合リレーは(9位で)入賞を逃して迷惑を掛けただけに、100はどうしても(入賞で)得点したかった」。古びた取材ノートに当時の言葉が残っている。
○…富山からの帰路の列車で、右腕をつった彼女と同じ車両に乗り合わせた。間近に迫った県新人戦出場の可否を問うと、「負けるわけないから大丈夫」と豪快に笑ってみせた。会えば「乗りで調子を上げていくタイプ」と語った彼女らしい答えに、こちらが苦笑するほどだった。福岡大進学後も新聞紙面に載る戦績が気になる選手で、昨年の日本選手権50メートル自由形2位、今年3月には福岡大200メートルリレーチームの最終泳者として短水路日本記録樹立に貢献し、卒業に花も添えた。
○…先の静岡スプリントは年連続のA招待から、B招待の立場で臨んだ。「久々に予選から泳いで初心にかえれたのがすごく良かった」。6位に終わった今年の日本選手権の記録を100分の4秒上回った。A招待選手2人を抑えての頂点だった。自己記録は昨年国体で樹立した県記録でもある26秒22。「来年は北京五輪の前年。もう1度ユニバーシアードに出て、五輪につなげたい」。静岡新聞記事を結んだ言葉に、今季締めのレースを来季、そして2年後につなげて欲しいと願う。
(10/17 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。