○…60歳以上のスポーツ・文化の祭典「第19回全国健康福祉祭しずおか大会(ねんりんピック静岡2006)」は28日開幕し、県内18市町で31日まで23種目を繰り広げる。「奏でよう ふじのくにから健康賛歌」をテーマに本県では初めての開催。本県選手団594人、政令市として単独参加の静岡市選手団221人をはじめ、全国から61選手団、11000人が集う。28日はエコパスタジアムで総合開会式に続き、「サッカー王国・静岡」ならではの企画として、60歳以上の元日本代表チームと大会参加の静岡県選抜・静岡市代表混成チームによる「ビンテージマッチ」が行われる。
○…ビンテージマッチは日本サッカー協会の協力で実現し、元日本代表チームには同協会副会長の釜本邦茂さん(62)、杉山隆一さん(65)=藤枝市=、富沢清司さん(63)=焼津市=のメキシコ五輪(1969年)銅メダリストをはじめ、元本田技研監督で静岡県サッカー協会専務理事の桑原勝義さん(62)=浜松市=、日本代表監督も務めた森孝慈さん(63)ら往年の名選手が一堂に介する。元日本代表の3選手を欠く本県側も、県サッカー協会元副会長の橋本忠広氏(71)=静岡市=ら「王国・静岡」を築いた名選手ばかりだ。
○…釜本氏や森氏らはねんりんピック“初ピッチ”だが、元日本代表の静岡県勢は大会連覇を狙う県選抜の中心選手でもある。シニア大会でも活躍する“現役”ばかりで、元日本代表チームでも主軸となるのは間違いない。元日本代表チームは9月末に長野県のイベントで、地元スポレク祭3位の実績を持つ50代チームと対戦した。一回りも年下を相手に動きも速さも苦戦を強いられたが、どうにか1-1の引き分けで面目は保った。
○…メキシコ五輪で得点王となった釜本氏と「黄金コンビ」と称された杉山氏は、長野の試合を振り返って、「釜本は初めこそ前線の中央に張っていたが、すぐにハーフライン付近の左サイドに下がって立っていただけ。日本協会のシニア部会長も務めるんだから、ねんりんピックにも出ろって言ってるんだけどな。森はひざが悪くて5、6分で交代だったからね」。友情とサッカー愛に彩られた“毒舌”は容赦ない。それもそのはず、杉山氏ら静岡県勢の多くは、地域に戻れば週1回の練習を欠かさない。
○…ねんりんピックの対象年齢になって以来、全員が連続出場の静岡県勢。走りこみの成果は攻め上がった後の戻りに発揮され、ねんりんピックでは向かうところ敵なしである。ビンテージとは古くて価値のある年代物のことをいうが、「イミダス」(集英社刊)は「原型の完成度が高い物に主に使われる」とも書き添える。生涯現役を標ぼうする静岡県勢こそ、まさに「ビンテージ戦士」である。
○…ビンテージマッチの翌日には静岡県選抜としての本番がダブルヘッダーで控える。「地元での連覇をにらんで無理もできないが」。杉山氏は顔見せのエキシビションマッチと認識しながらも、「やっぱりプライドもあるしね」と意気盛ん。世界を驚かせた「杉山がサイドをえぐり、釜本が決める」華麗で豪快なプレーの再現にファンの期待も大きい。「試合の流れに関係なく1度ぐらいは披露してみたいね。ただ、長野のイベントから1カ月、釜本たちがどれだけトレーニングを積んだか次第だけど」と笑う。
○…ねんりんピックの各種目は「交流大会」の冠が添えられるが、県選抜で“若手”の部類に入る富沢氏や桑原氏も「勝敗は二の次とはいえ、ゲームになればみんな勝ちたくなる。ビンテージマッチは対戦相手がチームメートだから楽しくやりたいが、本番の3試合は大先輩たちと一緒に連覇を目指したい」と口をそろえる。還暦を過ぎてなお生涯現役の静岡県勢は、日本サッカー界の至宝であり、サッカー王国の申し子そのものだ。
(10/25 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。