○…サッカーJリーグ1部(J1)前節、静岡県勢2チームはともに白星を挙げた。清水は開幕2連勝、磐田もホーム開幕戦で今季初勝利をものにした。今節は清水が17日、柏レイソルを日本平スタジアムに迎え、磐田は18日、味の素スタジアムに乗り込んでFC東京と対戦する。2試合ともチーム、サポーターには「因縁」浅からぬ組み合わせといえる。柏を率いるのは前清水監督の石崎信弘氏であり、FC東京は昨季磐田でゲームキャプテンを務めたMF福西崇史選手の移籍先だ。
○…04年、清水のヘッドコーチに就任した石崎氏は、アントニーニョ監督の辞任を受けて第2ステージから監督に昇格した。しかし、低迷は脱せず、最終節後の会見で辞任を表明。会見場に向かう途中、ば声を浴びせる一部の心無いサポーターの前に、いったんは歩を進め、思いとどまった。申し訳なさげで、寂しそうな顔は忘れられない。J2東京ヴェルディのヘッドコーチ、監督代行を経て、J2降格の柏監督に請われ、1シーズンでJ1に復帰させた。かつてモンテディオ山形、大分トリニータのJ2監督時代、勝ち点1差の3位でJ1昇格を逃すこと3度。清水に着任当時「忘れて来たままワシだけJ1に来てしまった」と称した「J1昇格」を果たし、広島弁丸出しの飾り気のない「イシさん」が日本平に戻ってくる。
○…福西選手の去就は年明け大きく進展しただけに、サポーターの衝撃も大きかった。05年途中の藤田俊哉選手、昨季途中の名波浩選手、そして服部年宏選手と、1つ上の世代の中心選手の相次ぐ移籍もあり、今季はチームリーダーの期待も大きかった。愛媛・新居浜工高から在籍11年。無名の新人からW杯代表にまで成長した貢献を思うサポーターに、チームを去るという選択の「福西批判」はなかった。FC東京の入団会見翌日、磐田の大久保グラウンドで取材を受け、静岡新聞に載った物憂げな表情は印象深い。サックスブルーではないユニホームはまだ見慣れないが、前節に新天地で初ゴールも挙げた。敵地に出向く磐田サポーターが浴びせる愛情込めたブーイングが今から聞こえそうだ。
○…清水と柏はリーグ戦の4日後、ナビスコ杯初戦でも対戦する。古巣の柏に昨季戻った前清水のFW北嶋秀朗選手がリハビリ中なのは残念だが、開幕戦は磐田に4-0で大勝。前節のサンフレッチェ広島戦は終了間際、前清水のMF戸田和幸選手5年ぶりの得点となる同点弾こそ許したが、好調は維持しているだけに、昨季の3連勝に続く開幕ダッシュをもくろむ清水には試金石となる一戦だ。一方、開幕戦で柏に大敗した磐田は前節、一度は追い付かれながらも勝ち越して、星取りを五分にした。FC東京も開幕戦の4失点(2得点)黒星から、前節の白星で五分にした。リーグ序盤の波に乗るためにも、互いに連勝を目指した“四つ相撲”になりそうだ。
(3/14 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。