○…裏金の常態化判明に揺れるプロ野球界とアマ野球界。元早大選手に高校時代から金銭供与し、表面化の発端となった西武球団側の最終調査報告を待たず、同選手の母校である東北地方の私学強豪校が野球部の一時解散を決めた。野球部員の奨学金制度が日本学生野球憲章に違反することも受けての措置だが、どうも納得がいかない決定に思えて仕方がないのは筆者だけだろうか。
○…部員90人を超える大所帯。全員が退部すると知り、思い切った措置をとったものだと思った。同好会として野球を続けるとも報じられ、部員の気持ちに胸が痛んだ。だが、詳報が伝えられるにつれ、“真相”は微妙に違うことが分かった。「一時」解散だそうである。県高野連の「解散届」受理に伴い、日本高野連は「出直せる形まで立ち直ったかが確認できれば、加盟は認められる」という。
○…すなわち、夏の県大会の抽選までに「立ち直れば」再加盟が承認され、大会出場の道も開かれる可能性を示唆した。当初、日本高野連は「除名も視野にした厳しい処分」を検討するとみられた。除名となれば再加盟はかなわない。野球部解散を発表した校長は「除名逃れではない」と強調したというが、一日も早い再加盟をにらんだ緊急避難的な措置と勘ぐられても仕方あるまい。
○…同校は既に、元選手と西武との契約書に連名でサインした当時のコーチを懲戒解雇処分にし、校長や当時の野球部長、監督ら4人をけん責処分とした。裏金問題の関係者処分は済んだ。奨学金の件は制度の廃止と該当部員の解約書提出を確約し、これをもって「出直し」の宣言とすればいい。早急に新しい指導体制を確立し、再出発すれば良かったのではないか。「解散」というインパクトのある言葉を使ったのは、反省を強くアピールしてみせたとしか筆者には思えない。「一時的」ならばなおさらである。
○…何も、すぐに廃部すべきだと言っているのではない。本当に「解散」というのなら、来年度以降の部員募集をやめ、現在の1年生部員の卒業をもって「永久的に廃部」とすればいい。それこそ、在籍部員のことを考えた立派な決断であり、日本高野連が常日ごろ標ぼうする「教育の一環」ではないだろうか。野球部のない高校は幾らでもある。
○…裏金問題の温床となった希望入団枠。「ファンのためにもクリーン化のアピールを一刻でも早く」と、アマ側もプロ選手会側も希望枠の撤廃で一致した。しかし、「職業選択の自由」を掲げ、“ドラフト逃れ”の恩恵を受けたのは、選手の側ではなかったか。1993年からの逆指名制度、自由獲得枠制度、希望入団枠制度。名前こそ変わったが、内定という特待生制度がドラフトをゆがんだ制度にした元凶だと、多くのファンは思っていたはずだ。
○…奨学金も経済的な援助という本来の目的を逸脱し、いわゆる野球留学の勧誘に利用されるから問題なのである。野球界の騒動を受けて、サッカーJリーグも不正なスカウト活動がないように各クラブに通達を出すという。しかし、入団決定時や契約更改の際に会見の場を設け、推定という形でおおよその金額が明らかになるプロ野球に比べ、Jリーガーの契約金や年俸はまだまだベールに包まれているといわざるを得ない。隠せば「裏」となる。すべては情報公開が基本である。
(4/23 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。