○…静岡陸上競技界の初夏を彩る静岡国際陸上が、23回目の今年も静岡県営草薙陸上競技場で華やかに行われた。静岡陸上競技協会とともに大会を主催する静岡新聞紙上で紹介された静岡県勢トップアスリートたちの地元での戦いぶりに、今夏の世界陸上大阪大会、そして来年に迫った北京五輪での活躍を期待せずにはいられない。また、女子400メートル障害で久保倉里美選手(新潟アルビレックス)が55秒71の日本新記録を樹立し、男子棒高跳び日本記録保持者の沢野大地選手(ニシ・スポーツ)も5メートル75で今季初公式戦に大会4連覇を飾るなど、県勢以外の第一人者も大きな話題を添えてくれた。
○…3年前のアテネ五輪で取材した今大会県勢選手は、男子やり投げの村上幸史選手と女子中長距離のルーシー・ワゴイ選手のスズキ勢。村上選手は最終6投目の75メートル61で逆転優勝、女子1万メートルのワゴイ選手は自己の持つ大会記録を0秒17更新する31分32秒52で優勝した。2人とも2週連続の公式戦だった。村上選手は日本選抜和歌山大会で79メートル51の好記録をマークし、ワゴイ選手も兵庫リレーカーニバルの同種目に優勝。「世界と戦うためにはコンスタントに80メートル」と言う村上選手、「強風の中で初めて経験した2週連続のレース」を連覇したワゴイ選手ともに、シーズン当初の地元でつかんだ自信は計り知れない。
○…昨年、浜松西高3年でアジア大会200メートル5位、400メートルリレー銀メダルに輝いた中村宝子選手(福島大)は、2月の左足首ねんざからの復帰初戦を100メートルでエントリー。スパイクを履き始めたばかりとあって、地元で迎えた大学生初レースは予選落ちに終わった。だが、初の長期離脱に家族や周囲の支えをあらためて痛感したと語り、「世界選手権リレーメンバーが目標」と変わらない宝子スマイルを見せた。2003年の静岡国体で少年女子A砲丸投げを制した美濃部貴衣選手(常葉橘高出)も、筑波大女子主将として学生最後のシーズンの幕開け。2日前に記録した自己最高に16センチ及ばない14メートル61で日本人最高の3位。大学選手権3連覇へ、15メートル投てきの手応えも得た。
○…紙面を飾った競技写真は、いずれも力強く、華麗だ。引き締まった山のような肉体が躍動する村上選手。冬場のトレーニングで筋肉の爆発力を鍛えた、というから頼もしい。ワゴイ選手もわきをきつく締め、両腕を高く細かく振る独特のポーズに、アテネ五輪スタジアムのカクテル光線に浮かんだ9位快走の姿が重なった。久保倉選手は「弾むように進む感覚になった」と語った。将来、今回の日本記録が更新されるまで、国内競技大会プログラムの同種目欄には彼女の名前とともに「2007年4月30日 静岡国際」の日本記録誕生地が印刷される。大会の名誉である。
○…貫禄勝ちの沢野選手は、8年前に初めて日本選手権を制し、一昨年は日本記録も樹立した草薙の地を、「跳びやすく、験がいい」と評した。地元の人間としては誇らしいほどにうれしい言葉だ。表彰式の授与者は女子走り幅跳び日本記録保持者の池田久美子選手(スズキ)が務めた。沢野選手とともにアジアを代表するアスリートは、同僚や後輩たちの躍動に大きな刺激を受けたはずだ。
(5/1 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。