○…「長くやってるだけ」。40歳と2カ月の三浦知良選手、39歳と7カ月の中山雅史選手。言葉は共通した。ジュビロ磐田の中山選手がサッカーJリーグ日本人最年長ゴールを決めれば、9日後に横浜FCの三浦選手が記録を塗り替えた。静岡県出身の2大スター選手の金字塔競演。冒頭の言葉には「最年長記録」の喜びよりも、FWとして変わりない「得点」への責任が伝わった。
○…静岡学園高を中退して単身ブラジルのプロクラブに渡った三浦選手と、藤枝東高から筑波大を経た中山選手。それぞれの道程は大きく異なるが、いわゆる「ドーハの悲劇」、そしてJリーグ発足を挟み、互いの存在感は極めてリンクした。「キング・カズ」に「ゴンちゃん」。社会的な呼称が象徴するように、スーパースターか庶民的スターかの違いはあれ、ともに日本サッカー界の金看板を担う。
○…15年前、アジア杯を制した思い出の広島の地で、三浦選手は左足を振り抜いた。ドライブが掛かった弾道は、GKが伸ばした両手の上を超え、ゴールマウスへ吸い込まれるように落下した。「40歳最初のゴールがこういうので良かった」。カズらしい“男前なゴール”である以上に、9試合ぶりの白星を引き寄せる追加点が意義深かった。
○…1学年上の三浦選手が現役である限り、記録の後じんを拝するのは中山選手も納得済みだろう。以前、三浦選手を「あの人の真似をしていれば間違いないという見本のような存在」と評した。互いに不惑の年に差し掛かりながらも、常に躍動する三浦選手の背中がある。中山選手も負けじと、その背中を追い続けている。喜びはいかばかりか。
○…昨季の中山選手は、リーグ34試合中13試合の出場で、得点は第23節の1得点。J1史上初の14年連続ゴールとなった今季の初得点は、清水エスパルスとの静岡ダービーで、成岡選手が得たPKを「チームを代表して」けった。中山選手の魂を込めた志願のPKと、三浦選手の技ありのミドルシュート。最年長を競い合った初ゴールは、ともに「らしい」得点だ。
○…「点取り屋でなく、もともと(ドリブル突破やスペースを突く)セカンドストライカー」と語ったことがある三浦選手と、4試合連続ハットトリックのギネス公認記録を持つセンターフォワードの中山選手。まさに「日本の2トップ」。三浦選手のJ1、J2合わせて通算146得点目、中山選手のJ1通算156得点目ともに通過点。記録はユニホームを脱いだ時、初めて歴史となる。
(5/14 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。