○…トヨタ自動車の2連覇で2006-07年シーズンを終えた男子バスケットボールのスーパーリーグ。企業チームによるトップリーグを運営してきた日本リーグ機構(JBL)が12年の歴史の幕を閉じた。旧日本リーグから数えて40年の節目の年。完全プロ化を前提に、独立事業体の新組織、日本バスケットボールリーグに運営は継承される。日本バスケットボール協会にプロ化検討部会が設置されて14年。協会傘下を飛び出したプロリーグ「bjリーグ」の発足も経験した日本男子バスケットボール界だが、プロ化を頂点とした道はまだまだ一本道とはなりそうもない。
○…国内初の完全プロリーグのbjリーグは2年前に設立された。日本協会傘下のJBLに対し、同リーグはいわば独立リーグ。リーグ連覇の大阪エヴェッサの人気者、波多野和也選手(静岡学園高-専大出)のような実力派でも、日本代表には選ばれない。国際大会は日本協会の管轄だからだ。bjリーグ発足に当たっては、日本協会のプロ化検討のテンポに業を煮やした新潟と埼玉のスーパーリーグ脱退もあった。互いに競技力と人気の向上を掲げながら、新リーグとbjリーグの共存は容易ではないだろう。
○…10月開幕の新リーグだが、オーエスジー(愛知県豊川市)が、翌2008-09年シーズン以降のbjリーグ移籍を検討している。この動きを受け、浜松市の若手経済人によるホームタウン誘致活動も活気付いている。既に「チーム設立準備委員会」を立ち上げ、チーム名を浜松フェニックス、本拠地を浜松アリーナとするなど、誘致に向けた具体的な方針も示し、チーム関係者とともに浜松市長に協力を要請した。
○…静岡県内のホームタウンといえば、スーパーリーグのトヨタ自動車が、練習場などの拠点を都内に持ちながら、2001-02年シーズンから本県とのダブルホームタウンという変則的な取り組みをしたが浸透しなかった。オーエスジーの誘致は、選手も練習場も含めた“チームごと”が肝心だ。来季のbjリーグは福岡と沖縄の2チームを迎え、新リーグもレラカムイ北海道(アイヌ語で「風」)が新規参入する。北海道は新リーグで一足早いクラブチームの登場となる。両リーグとも「プロ化」を巡る動きはめまぐるしい。
○…一方で、日本協会は昨年開催した世界選手権の13億円に上る赤字処理に絡み、執行部と反対派の対立が迷走を続けている。また、新リーグに引き継がれるJBLの余剰金は約3700万円。新リーグが標ぼうするスポーツビジネスの世界では、「驚くほどの金額」ではない。bjリーグとてスポンサー探しなど苦しい台所事情は同様。加えて同リーグはクラブ所属外国人選手の数に制限がない。果たして日本バスケの強化に寄与するのかという指摘にも耳を貸すべきだろう。
○…サッカーのJリーグでさえ、母体企業に赤字補てんを仰ぐクラブはなくならない。競技自体の国内人気がサッカーに及ばず、経営母体もぜい弱さが否めないバスケットボール。プロ化の華やかさに隠れるリスクは大きい。先べんをつけた新潟や埼玉の地域クラブ化でさえ、きっかけは実業団時代の親会社支援の打ち切りだった。もちろん、プロ化ですべてが好転するはずもないことは関係者も重々承知だろう。プロ化という美名だけに依存しない姿勢の先に、日本男子バスケの明るい未来があると信じたい。
(5/22 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。