○…日本の3大会ぶり優勝で幕を閉じたサッカーのキリンカップ。静岡県袋井市のエコパスタジアムで行われたモンテネグロ戦、埼玉スタジアムで行われたコロンビア戦を1勝1分けで終え、オシム・ジャパンはコロンビアを得失点差で上回り、初タイトルを獲得した。先発FWとして2戦ともにピッチに立ったのは、第2戦前日に28歳の誕生日を迎えた「タカ」こと高原直泰選手=ドイツ・フランクフルト、清水東高出=。スコットランドリーグ年間最優秀選手という日本サッカー史に残る快挙を成し遂げた中村俊輔選手(セルティック)もかすむほどに、「タカの大会」を印象付けたといったら地元びいきにすぎるだろうか。
○…静岡県内での代表戦開催は、2006年2月のフィンランド戦以来。国際Aマッチ出場46試合目の高原選手にとっても、故郷で開かれた代表戦の出場は初めてだった。終了したばかりのドイツ1部リーグで、日本人選手として欧州主要リーグ最多の11得点を記録。フル出場した“凱旋(がいせん)試合”では前半、相手DFを引き連れながらニアサイドに飛び込み、ヘディングで追加点も奪った。自身が得点した代表戦は11勝3分けと「不敗神話」も伸ばし、結果的にこの得点で日本を優勝に導いた。
○…第1戦では重量級の欧州選手との1対1に競り勝ち、そのまま糸を引くような高速で鮮やかな「世界標準」のヘディングで得点。欧州組4人全員が先発したコロンビア戦では1トップを任され、悪質なファウルを受けながらも、ドイツ仕込みのキープ力やジュビロ磐田時代に中山雅史選手から学んだ激しいチェイシングをいかんなく発揮した。1得点した前回のペルー戦以来2カ月ぶりの代表合流にも、「前より(試合まで)時間があるし、いい形でこのチームに入っていければいいと思う」の言葉通りの動きを見せた。
○…「自分のプレースタイルが徐々に浸透してきている」「結果を出せば、仲間も信頼してくれ、ボールも集まってくる」。孤立無縁のピッチを経験したボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)やハンブルガーSV(ドイツ)での苦闘を糧に、自信に裏打ちされた言葉にはエースの風格が漂う。フィジカルコンタクトや得点へのきゅう覚といったFWの資質だけではない。コロンビア戦で見せたボール奪取は手数を掛けない好連係の起点となり、オシム監督が標ぼうする「人もボールもよく動く」チームを体現してみせた。
○…日本サッカー協会はフランクフルト側に、高原選手の7月のアジアカップ招集了解を求めている。欧州では来季の開幕準備期間と重なり、折衝の行方は不透明だ。アジアカップ優勝国はコンフェデレーションズカップ出場権を得る。何よりコンフェデ杯は2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会のプレ大会である。02年のW杯日韓大会は直前の発病で辞退し、昨年のW杯ドイツ大会は不本意な出来に終始した。「強行日程は強者の必然」。磐田時代に語ったことがある。南アに続く道を自ら切り開き、アジアカップ3連覇をけん引するエースを見たい。
(6/6 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。