○…静岡商高32年ぶりの甲子園出場から、早いもので1年が経とうとしている。古豪「セイショー」の名前が銀傘にこだました昨年の夏、常葉菊川がセンバツ全国制覇を果たした今年の春。特待生問題に全国が揺れた高校球界だが、静岡県の高校球界は明るい話題が続いた1年でもあった。全国高校野球選手権静岡大会の開幕が迫った。本サイトと静岡新聞SBSの携帯サイトは全試合を速報する。全国52新聞社で構成するポータルサイト「47news」も特集ページを立ち上げた。いながらにして全国の地方大会の様子が分かる。
○…静岡大会の選手宣誓は、引佐の大石浩司主将が引き当てた。静岡新聞に載った感想がほほ笑ましい。中学3年の校内体育大会以来という大役に、「スケールが違いますね」。1回戦は大会3日目、浜松球場で迎える聖隷クリストファー戦。春の地区大会2回戦で大敗した相手だ。捕手として、チーム一の打率を誇る1番打者として、まさに攻守でチームをけん引する大石主将。聖隷には中学時代の宣誓を聞いた浜松・引佐南部中の同級生も少なくない。同じ時、同じ空の下で白球を追う120校の代表として、どんな言葉を盛るのか楽しみだ。
○…開会式に続く開幕戦は、「興誠-静岡東」だ。5年前の覇者の興誠は、昨年3回戦、今春地区2回戦敗退の雪辱を期し、練習試合を多くこなして実戦感覚を養ったという。一方の静岡東は昨夏、創部44年目で初のベスト8進出。左右両打席で通算19本塁打の洞口大輝主将をはじめ、打率3割台の好打者がそろった。西部の雄としてけん土重来を図る興誠と、快進撃の再現に期待が掛かる静岡東。知人の両校OBはそれぞれに、「昨年の静商と同じように、開幕戦から決勝まで勝ち抜くぞ」と鼻息は荒い。
○…もちろん、大方の注目は静岡商と常葉菊川に違いない。静岡商は春地区2回戦敗退でノーシードに甘んじた。国際開洋一との初戦を勝ち上れば、2回戦はBシードの浜名と昨年決勝の再現だ。とはいえ、国際開洋一は通算30本塁打の武田浩平一塁手を擁し、決して侮れない。昨年は創部3年目の静岡大成との開幕戦を9回決勝スクイズの末に制し、苦戦スタートの末に悲願の頂点を極めた。初戦辛勝が勝負強さを生み、気持ちを締め直したことを振り返れば、国際開洋一は連覇への口火を切るのにふさわしい好敵手ともいえる。
○…一方、静岡県に29年ぶりで紫紺の大優勝旗を持ち帰った常葉菊川。シードで臨んだ春季県大会は控え中心の初戦で敗退したが、静岡新聞の担当記者も覇権争いの優位は揺るぎないとみる。しかし、同じブロックには、第3シードの静岡、春地区3回戦敗退ながら地力のある日大三島などが控える。いずれの対戦校も「打倒、春の全国王者」に高いモチベーションで臨むことは必至だ。菊川ナインにもプレッシャーがないといえば、うそになるだろう。勝っても負けても、新聞の見出しは大きい。緊迫した攻防が楽しみだ。
○…3年前の男女共学再開に伴い、54年ぶりの復活出場となる三島北と、本年度いっぱいで廃校が決まっている長泉も注目だ。両校は直線で3キロほどしか離れておらず、合同練習も重ねてきた。1、2年生部員で新しい歴史の扉を開く三島北と、他部から4人を加えた“全校総力戦”で学校球史最後の夏に挑む長泉。両校の対決は準決勝。互いに夢を見よう。麦わら帽子とうちわ持参のスタンド観戦も良し。パソコンや携帯の画面から、球音や歓声を想像するのもまた楽しい。
(7/9 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。