○…静岡県民には「真夏の夜の祭典」だった。エコパスタジアムで行われたサッカーのJリーグ・オールスターゲーム。15回目を迎えた年に1度の球宴に選ばれた東西32選手のうち、静岡県勢は12選手を占めた。監督も西軍が清水の長谷川健太監督、東軍を指揮した川崎の関塚監督は現役時代、ホンダで長く活躍した。県内初の球宴は地元選出への熱心な投票を差し引いても、出身Jリーガー70人を数えるサッカー王国が、変わらぬ“スターの供給源”でもあることを全国に再認識させたといえる。
○…何といっても注目を集めたのは、3年ぶりのJ1復帰で球宴に帰って来た三浦知良選手(横浜FC、9回目)と、オールスターでは初めて別チームに分かれた中山雅史選手(磐田、8回目)の「県勢FW対決」。キング・カズこと三浦選手とお祭り男こと中山選手の“初対決”の注目の高さは、サッカー王国を自負する静岡県民が留飲を下げるところでもあった。試合前アトラクションの各クラブマスコットと選手のFK対決をコンビで司会を務めたほか、試合自体も2人のための球宴となった。
○…中山選手がオウンゴールを含むヘッド2発を披露すれば、40歳の三浦選手は湿度87%という厳しい条件の中をフル出場。中山選手は最も印象に残った選手に与えられるMIP賞を2年ぶりに獲得し、三浦選手も現役代表選手や才能ある若手に刺激を与え、彼らからもまた刺激を受けた。Jリーグ創生期から屋台骨を支える2つの“華”は、まだまだ抜きん出て輝いていた。後半開始時には、三浦選手が中山選手を挑発し、中山選手が三浦選手に迫るというコンビパフォーマンスで場内を沸かせた。
○…最多得票は東軍の三浦選手に対し、西軍は清水の藤本淳吾選手(2回目)だった。最年少19歳の内田篤人選手(鹿島、2回目)は清水東高OB。「幼稚園のころからあこがれたカズさんと一緒にプレーできてうれしかった」という内田選手の言葉は、サッカー王国の継承、継続を象徴しているようで、うれしく、頼もしい。オウンゴール後の中山選手、決定機を逃した後の三浦選手とも、厳しく自らを責める表情も見せた。人一倍お祭りを楽しむ一方で、プレーは真剣勝負。そんな姿勢こそが「キング」「隊長」と尊敬され、親しまれる理由だろう。
○…一方、清水商高OBは5人が名を連ね、川口能活選手(磐田、9回目)、元磐田の藤田俊哉選手(名古屋、7回目)、小野伸二選手(浦和、3回目)は先発で、小林大悟選手(大宮、2回目)と初選出の水野晃樹選手(市原)も後半に出番を得た。日本代表選出など成長著しい浜名高出の矢野貴章選手(新潟)も後半、初選出で地元にがい旋した。ピッチに広がる県勢の笑顔は、球宴という晴れ舞台とともに、地元開催に一層輝いて見えた。昨季まで磐田で活躍した福西崇史選手(FC東京)も途中出場で元気な姿を見せた。
○…サブグラウンドなどでは、選出外の清水や磐田の選手が、子供たちとミニゲームやサッカー教室で触れ合った。「ファンと触れ合えてこちらも楽しかった」「サッカーをもっと広げる機会になればいい」。華やかなカクテル光線はスタジアムの仲間に任せた彼らだが、地元開催の球宴成功にひと役買った姿も、間違いなく主役であり、直接触れ合った子供たちにはスターだった。日韓ワールドカップを開催した国内10会場の中で、一番最後に巡った球宴の舞台。ピッチの内外に輝いた県勢選手の姿に、早くも大阪・長居、神戸に続く2度目の開催を待ちたくなった。
(8/8 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。