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2007年「スポーツコラムだんまく」

新チームも「日本一」

2007/11/16

 ○…高校野球の全国各地区秋季大会王者が結集した明治神宮大会で、東海代表で静岡県の常葉菊川高が関東代表の横浜高(神奈川)の反撃を振り切って頂点に立った。静岡県勢の決勝進出は32年ぶり2度目、優勝は初めての快挙だ。今春は全国制覇、夏の甲子園も準決勝進出、そして秋も日本一。声高な期待こそ慎みたいが、これほどの好成績を続けて残されては、東海大会優勝で出場当確の来春センバツ大会が楽しみといわざるを得ない。東洋大姫路(兵庫)、明徳義塾(高知)、横浜と名だたる名門校の撃破は、史上3校目のセンバツ連覇に向けた前哨戦と期待したい。

 
 ○…明治神宮大会は1970年、神宮鎮座50周年の記念奉納大会として、全国の主要学生リーグ王者が日本一を決める大学の部のみで始まった。高校の部は73年に新設され、東海勢は昨年まで34回の歴史(88年は昭和天皇の病気加療で開催自粛)で、優勝3回、準優勝5回を数えた。静岡県勢の最高成績は75年決勝で徳島商(四国)に敗れた自動車工(現静岡北)の準優勝だった。ちなみに、出場が各地区の秋季大会優勝校に規定されたのは00年大会から。東海地区代表は80年まで、秋季東海大会に出場できなかった最上位校が各県持ち回りで選ばれていた。自動車工は秋季県大会3位からの躍進だった。


 ○…新チーム初の全国大会として熱心なファンが注目する神宮大会だが、一般の関心を集めるようになったのは、03年大会から優勝校の所属地区に「神宮枠」というセンバツ甲子園出場1枠が与えられるようになったことが大きい。秋季地区大会で「あと1歩」及ばなかったチームは、地区優勝校の神宮大会での活躍を祈るばかりである。常葉菊川に至っても04年のセンバツ初出場は、愛工大名電(愛知)優勝の「神宮枠」に収まった結果だった。来春センバツが80回記念大会で神宮枠が2となったため、今回は決勝進出で東海地区に神宮枠をもたらした。常葉菊川にしてみれば、優勝で「借り」を返した格好になる。


 ○…来春センバツ甲子園出場校の一般選考の地域割りは、今春の東海地区2枠から、来春は東海・北信越地区で5枠に変更された。東海と北信越で2枠と3枠を分け合うのだが、東海が神宮枠を得て、北信越が長野県勢同士の決勝だったことも考え合わせると、北信越3、東海2に落ち着くのが適当とみられる。東海の2枠は地区2連覇の常葉菊川と準優勝の中京大中京が選ばれることは間違いない。では、神宮枠はどの学校に舞い降りるのか。順当にみれば準決勝まで進んだ本県の常葉橘か、三重のいずれかだが、ともに7回コールド負け。優勝した常葉菊川に3-10の常葉橘、準優勝の中京大中京に0-8の三重。両校の比較は極めて微妙だ。


 ○…神宮枠の選考はベスト8校も視野に、予断を許さないだろう。準々決勝で中京大中京に2-3と惜敗した宇治山田商(三重)の内容、常葉菊川に2-5で敗れた市岐阜商(岐阜)の地域性など、来年1月25日の出場校決定まで各校ナイン、関係者は落ち着かない日々となろう。「打倒菊川」の合言葉は全国の高校球児に共通するほど、常葉菊川は1年間にわたって強さを見せ付けている。1987年の富士と富士宮西の同時出場以来となる本県2校選出は、常葉橘が“横綱”兄弟校を相手にした準決勝がどう評価されるかにかかっている。一方で常葉橘は静岡県高野連から21世紀出場枠の推薦も受けた。しかし、こちらとて東海地区から近畿地区で1校選出の狭き門である。

 
 ○…常葉菊川は1-4番打者が昨春からのレギュラー。経験も豊富だ。神宮大会決勝は最終回1点差に詰め寄られ、森下監督は「こういう場面だからこそ自分たちの力を出し切ろう」と伝令を送った。「私は選手の後から付いていくだけ」と指揮官が謙遜するほど、精神的にも技術的にも「負けない常葉菊川」がいる。土壇場で3点本塁打を放った横浜先発の土屋投手は富士・吉原三中の出身で、バッテリーを組んだ小田捕手は磐田・福田中の出身だ。2試合連続完投の背番号10は「菊川には中学時代の友人も多く負けられないと思ったが、相手の方が一枚上だった」。関東王者の静岡県勢バッテリーは、「打倒菊川」も新たに、来春のセンバツに臨む。「鬼が笑う」ことを承知で、今から楽しみだ。

(11/16 掛井 一也)

 

 「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。




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