○…大相撲春場所(3月9日初日、大阪府立体育会館)の番付が発表され、十両に静岡県勢トリオの四股(しこ)名が2場所ぶりで並んだ。ともに番付を下げた潮丸関(静岡市出身、東関部屋)と片山関(焼津市出身、阿武松部屋)は幕内復帰の夢に向かって奮起の場所、幕下から返り咲きの磋牙司関(三島市出身、入間川部屋)は関取定着を目指す場所だ。西10枚目の潮丸関、東13枚目の片山関、西14枚目の磋牙司関、3力士の取組に期待したい。
○…初場所は潮丸関、片山関とも10敗を喫し、大きく負け越した。昨年1年を締めくくった九州場所は、潮丸関が5場所ぶり、片山関は2場所連続で、それぞれ勝ち越した。新年の誓いはともに「飛躍」だったろうから、浪速の土俵は「雪辱の春」となる。一方、磋牙司関は新十両で迎えた九州場所を6勝9敗と負け越し。幕下からの出直しとなった初場所を4勝3敗でしのぎ、1場所で十両復帰を果たした。
○…右ひざの古傷が悪化し、初場所は序盤から負けが込んだ潮丸関。体調が戻らないまま2勝9敗となり、終盤は「開き直るしかないと気持ちを切り替え、何とか3連勝することができた」。苦しかった場所にも、元前頭力士の意地を忘れなかった。九州場所は2けた勝ち星まであと1歩に迫った片山関。「勝ち癖をつける」と幕内復帰の足がかりを狙った初場所だっただけに、取組後の土俵上では連日、首をかしげて見せた。
○…磋牙司関は前相撲から約3年半で関取の仲間入りを果たした九州場所後、「(15日制や夕方近くの取組という)慣れない雰囲気の中、6番勝てたことはプラスに考える」と負け越しにも前向きだった。「踏み込めたし、内容はよかった。(勝ち越し、負け越しは)紙一重」とつかんだ手応えで、初場所を「紙一重」の星取で十両復帰につなげた。
○…初場所は朝青龍の2場所謹慎が明け、白鵬との横綱同士の優勝決定戦に沸いた。一方で、時津風部屋の力士死亡事件に絡み、場所後には前の親方が逮捕され、国技を取り巻く激震は続いた。日本相撲協会は2月、貴乃花親方を35歳の若さで役員待遇の審判部副部長に抜てきし、将来の理事長候補を予感させる人事で、角界の失地回復を狙った。
○…土俵の外の出来事で揺れ続けた角界だが、汚名返上は土俵の上でしかあり得ない。潮丸関は近年の力士には珍しい典型的な“あんこ型”で、「マルちゃん」の愛称で人気がある。片山関は足を高く上げる美しい四股で場内を沸かせ、磋牙司関は現役力士で最も小兵の167センチながら、取り口のうまさで体格のハンデをカバーする。話題性は3人とも十分。「荒れる春場所」と言われるように、波乱含みとなることが多い場所の主役を担うよう、思う存分暴れてほしい。
(2/25 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。