○…サッカーJリーグ16年目のシーズンが開幕した。清水エスパルスは大分トリニータに1-2で敗れ、9度目のホーム開幕戦で初黒星を喫した。開始早々の先制など2点を先行される展開に、16年連続の開幕戦得点というリーグ記録も実らなかった。3年ぶりの白星発進を狙ったジュビロ磐田も昨年開幕戦で0-4と大敗した柏レイソルに再び0-2で屈した。大分はサンフレッチェ広島から移籍したFWウェズレイ選手のミドルシュート、20歳のDF森重真人選手のヘディングとも見事だっが、清水も交代出場の岡崎慎司選手-枝村匠馬選手の21歳コンビで奪った追撃弾や本田拓也選手、辻尾真二選手のルーキーによるダブルボランチなど、敗戦の中でも若手が目をひいた。磐田はFWの万代宏樹選手とジウシーニョ選手の新戦力2トップが不発に終わり、ジウシーニョ選手が警告2枚で退場したのも残念だったが、終了間際の投入とはいえ、FW中山雅史選手が3年ぶりで開幕戦のピッチに立った姿に感じ入ったファンも多かったことだろう。
○…清水は長谷川健太監督が当初の契約期間3年を終了し、継続した戦術の中でも新たな気持ちでシーズンを迎えた。2年連続で4位の成績から今季は「極」をスローガンに頂点を目指す。一方の磐田は過去最低の9位に甘んじた昨季の雪辱を胸に、昨秋から指揮を執る内山篤監督の下、再生と進化に挑む。元日本代表MFの名波浩選手がセレッソ大阪-東京ヴェルディへの期限付き移籍から1年半ぶりに復帰し、MF河村崇大選手もセレッソ大阪-川崎フロンターレへの期限付き移籍から3年ぶりに帰ってきた。名波選手の開幕戦出場はなかったが、ベンチ入りで精神的にも鼓舞。河村選手はサンフレッチェ広島から加入した日本代表MF駒野友一選手とともに先発フル出場。磐田ユース時代に2年連続でJ1のピッチを経験した新戦力MFの山本康裕選手も後半途中出場でプロ1年目のスタートを切った。
○…清水や磐田のほかにも、開幕戦は多くの「静岡県勢」が気になった。2004年第2ステージに清水を指揮した柏の石崎信弘監督は、磐田との開幕戦に「連勝」し、先制点は昨季途中に清水から期限付き移籍したMF太田圭輔選手が挙げた。清水ユースから生え抜きだった太田選手は、ヴァンフォーレ甲府へ期限付き移籍した01年にはチーム得点王にも輝いた。甲府の1年を挟んでオレンジのユニホームを6年半着続けたが、昨年夏に出場機会を求め、清水の監督時代に重用してくれた石崎監督のラブコールに応えた。石崎監督は清水監督当時「大分(当時はJ2)監督時代は甲府の太田くんに強烈な印象を抱いていた」と話していたほど。GK南雄太選手、DF小林祐三選手の静岡学園高OBコンビも柏の完封発進を支えた。また、昨季の太田選手に続き、ユースから清水の生え抜きだったMF杉山浩太選手が、今季から期限付き移籍した。太田選手とともに石崎監督が清水時代に目をかけた若手の起用も注目される。
○…3年ぶりでJリーグ1部(J1)の舞台に帰って来た東京Vでは、元磐田のDF服部年宏選手、MF福西崇史選手の元日本代表コンビが開幕戦にフル出場した。服部選手は東京Vで3シーズン目だが、福西選手はFC東京から移籍初年。同様に東京Vが新天地となった選手では、清水から横浜FCに続いて期限付き移籍したDF和田拓三選手もフル出場し、後半ロスタイムに追い付いた川崎Fとの開幕戦に守備で貢献した。川崎FでもMF森勇介選手が中盤で開幕を支えた。また、6年ぶりにJ1復帰を果たした札幌では清水から期限付き移籍したDF平岡康裕選手が4バックの一角でフル出場し、昨季2冠の鹿島アントラーズに0-4で敗れ、苦い新天地での幕開けとなった。6年ぶりの国内復帰となった日本代表FWで浦和レッズの高原直泰選手は、元磐田監督で新指揮官の桑原隆氏が率いる横浜Fマリノスに封じられた。大宮アルディージャではMF小林大悟選手が開幕弾を決めた。
○…このほか、ジェフ千葉ではアテネ五輪代表候補でもあったDF池田昇平選手が守備陣の一角でフル出場した。清水から期限付き移籍したサンフレッチェ広島、ベガルタ仙台の2年間は活躍の機会に恵まれなかった。2度目のJ1復帰となった京都サンガは清水で現役を過ごしたこともある加藤久新監督を迎えた。ともに静岡学園高出身でMFの倉貫一毅選手や石井俊也選手、清水や日本代表でキャプテンも務めたDF森岡隆三選手の開幕ベンチ入りはなかったが、J1での勇姿を楽しみにしているファンは多いはずだ。12月までの長いシーズンは始まったばかり。清水、磐田そろっての黒星発進は残念だったが、クラブ、選手、指揮官それぞれの「静岡県勢」の残り33試合を長い目で見守りたい。
(3/10 掛井 一也)
「だんまく」とはスポーツ大会で目にする応援用「横断幕」の通称。時に温かい声援、時に檄文(げきぶん)の横断幕にならい、静岡県内スポーツ界の出来事を中心に、折に触れた話題を取り上げます。