○…第90回全国高校野球選手権静岡大会の組み合わせが決まった。静岡市民文化会館で行われた抽選会に出向いた。取材現場を離れて久しい。甲子園取材などで世話になった監督や、国体取材で世話になった元県教委勤務の校長らとの再会を果たしながら、制服姿の主将球児や傍らの女子マネジャーらが発する“歓声とどよめき”を懐かしく楽しんだ。北京五輪開催に伴う甲子園大会の前倒し開催で、地方大会も例年より早い開幕となる。90回の記念大会で甲子園には北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫からは各2校が出場する。全国大会の組み合わせは地方代表決定時に自動的に決まり、抽選会は行われない。異例づくめだ。
○…静岡大会は例年より約2週間早い7月5日、日大三島・芦川翼主将の選手宣誓で熱戦の幕は開ける。「席に戻ったらマネジャーから『おめでとう』と言われました」。選手宣誓役となる「32番」の枠を引き当て、照れくさそうな笑みと、誇らしげな表情が入り混じった。1回戦は開会式翌日に同じ東部勢の古豪・富士との対戦が決まり、2回戦に勝ち上がれば、15年ぶり夏シードに燃える磐田南が待ち構える。「まだ宣誓はピンと来ません」。抽選会場では試合を思う方が現実的。「1試合1試合を大切にしたい」。聞き慣れた言葉が重く響く抽選結果となった。
○…新加入の城南静岡の佐野吉秀主将は、抽選に先立ち、県高野連から球場に掲げられる校旗を受け取った。かつて取材した初陣校の古くは富士宮東から、最近では聖隷クリストファーを思い出した。ただ、1年生チームだった当時の初陣校と違うのは、佐野主将が3年生だということ。唯一の最上級生として、正捕手として、下級生を真正面に見守り、まさにチームをけん引する。昨年4月から同好会として活動を続けた。佐野主将は緊張の面持ちも見せず、念願かなっての「最初で最後の夏」を見据えていた。
○…昨秋まで3季連続で県制覇を達成した常葉菊川、今春の県大会を制覇し、東海大会も頂点に立った兄弟校の常葉橘、春県準Vの興誠をはじめ、東海大翔洋、韮山、磐田南、静岡、三島のシード勢。一昨年32年ぶりで夏を制覇し、昨年は決勝で涙をのんだ静岡商。静岡工と清水工の統合再編で誕生した科学技術、下田北と下田南が統合した下田と同校の南伊豆分校。いやが上でも注目は集まる各校のみならず、今夏はどこにどんなドラマが待ち受けるのだろうか。
○…加藤学園-榛原は昨年に続く1回戦のカード。加藤学園が雪辱を果たすのか、榛原は“連勝”で昨年2回戦敗退の雪辱に挑むのか。早くも2回戦が楽しみな組み合わせもある。島田と島田商は初戦を勝ち抜くと2回戦で対戦、静岡は「静岡商-金谷」の勝者とぶつかる。市内人気を二分する伝統校対決が早くも実現するか。島田商は昨年も2回戦で島田と地元で対決できる組み合わせだったが、1回戦敗退の借りを返す戦いでもある。もちろん、1回戦で島田と当たる星陵、島田商と当たる大井川や、金谷も「そうはさせじ」と初戦突破に集中する。
○…「北京五輪開催に伴い」は「北京五輪報道に伴う」事情でもある。北京との時差は1時間。五輪は8月8日から24日まで。例年通りの全国大会日程では開幕がほぼ同じで、その後もテレビ中継など日程が重なってしまう。このため、今年の全国大会は開幕を1週間早めて8月2日から17日間に前倒し。開幕を早める静岡大会は1回戦の前半と後半で1週間が空く変則日程となった。梅雨明けもにらみながらの早期開催。雨中戦の可能性は例年より高いが、なるべくは良いコンデションで臨ませてあげたいと願う。
(6/21 掛井 一也)