○…学生時代の夏、高校野球の主催新聞紙上で静岡大会の結果を確認するのが楽しみだった。母校は今でこそ優勝候補にも挙げられるようになったが、当時はいわゆる「出ると負け」。その名は早々に消えても、郷里の古豪や強豪校、ダークホース校の活躍に思いをはせた。知らない校名を紙面に見つけ、「そんな名前の高校はありません」と当該新聞社の編集局に公衆電話から指摘を入れ、「この春に校名変更しました」と苦笑されたのも、今となっては懐かしい思い出だ。
○…静岡新聞も今夏から全国の地方大会の結果掲載を始めた。全国のトップを切って6月14日に開幕した沖縄大会は、既に代表校決定まであと2試合に迫った。紙面に掲載される棒スコアといわれる「○-○」の得点結果をながめ、全国の甲子園経験校の勝敗や見慣れない校名に、“彼の地”の熱戦を想像する。試合の数だけ白球にかけた青春があり、スコアの数だけ悲喜こもごものドラマが存在する。
○…北京五輪の8月開催に伴い、今年の甲子園大会は前倒し開催となる。静岡大会も例年より2週間早い開幕となったが、開会式と開幕戦の大会初日、1回戦前半戦の大会第2日の後、再開まで1週間を挟んだ。10球場に球音が戻った再開昼すぎには、浜松市天竜区で35.8度、川根本町で35.7度を記録。全国1、2位の暑さとなるなど、名実ともに「熱い球児の夏」となった。大会第4、5日に2回戦32試合を行い、熱戦は再び4日間の休止し、大会が順調に進めば2連戦が最長となる。
○…五輪開催による変則日程とはいえ、結果的に連戦の少ない日程は、球児の負担軽減という点で好ましい。一方で「歯抜け」の日程は、心身ともに調子の維持が難しくもあろう。白星発進とはいえ、初戦を終えて間の空いた1回戦前半組と、開会式の入場行進から初戦まで1週間待たされた後半組。初戦突破を果たした勢いと安ど感は、2回戦まで間を空けた持続と、1、2回戦連戦で一気の持続と、どちらの組み合わせに「吉」と出るのか。2回戦初登場のシード8校とノーシードの御殿場南に至っては、待ちに待った開幕の後、また休止である。
○…さて、本サイトと携帯サイトは昨夏の静岡大会、今春の県大会に続き、イニング速報を実施している。各球場の速報担当者は、なるべく母校の試合会場や試合日の担当を避けて配置される。つい応援に熱が入ったり、他球場での母校の試合経過に気をとられないようにするためだ。社内で連絡を受ける人間も「どこより速い」を目指しながら、決して間違いのないよう慎重を第一に、できる限りの迅速な作業を心掛けている。
○…応援メッセージの受け付けもそうだ。試合前はもちろん、試合中も逆転を信じる願いなどが届き、試合が終われば勝利を祝い、惜敗を慰労する多くの言葉が続く。球場の内外や県内外、時には海外からも寄せられる。ひぼう中傷はないか、不適切な表現はないか、チェックの上での迅速な掲載に努める。とかくバーチャル(仮想)な世界が問題視されるデジタル・ネット社会にあって、速報画面の向こうにある人やメッセージを寄せてくださる人との双方向感、対人感は、その作業風景も含めて極めてアナログである。
(7/12 掛井 一也)