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2004年「Webコラム一灯」

 冷血(?)の涙、変人の友情

2004/09/29

  小泉首相のあだ名でよく知られるのは、「(永田町の)変人」ですが、「冷血」と呼ぶ人もあるようです。派閥という集団に群れるのを好まず、べたべたした人間関係を避ける性癖があるためでしょう。以前は、「YKK」という仲間を形成していましたが、これも確か本人が「友情と打算の産物」とかいった表現をしていたくらいです。

 

 ∋ 権力者がだれにも心を許していたら、秘密を求められる政治などできませんから、孤独は指導者の必須要件です。小泉さんの場合は、これに紋切り型の「一言政治」スタイルが重なって、どうしても人を突っぱねたような印象があります。例の土俵上での「感動した」のようにつぼにはまればヒット作になりますが、概して温かみを感じさせない人物と思わせるようです。

 

 ∋ その冷血漢(?)が先のブラジル訪問の際に見せた2度の涙が憶測を呼びました。ブラジル日本協会のでのあいさつで移民の苦労に思いをはせて感極まったのはまだしも、同行記者団の前でも感涙にむせんだといいます。かねて政治指導者に涙は禁物とされてきました。重大な判断を迫られる場面で自らの感情をコントロールできないようでは、選択を誤る恐れがある。われ知らず流した涙のために、身を滅ぼした大物の例は少なくありません。「小泉の涙」はだから余計に関心を呼んだのです。

 

 ∋ 内閣改造人事直後に実施された共同通信の全国緊急電話世論調査によると、内閣支持率は4ポイントほど上がって48.6%でした。昨年9月に安倍晋三氏を党幹事長に抜擢した人事では一気に66%台にはね上がったそうですから、今回は「ノー・サプライズ(驚きなし)」といったところです。武部氏の幹事長起用など「代わり映えしない」という評価でした。

 

 ∋ 「おやっ」と思わせたのは、山崎拓氏の首相補佐官への登用です。スキャンダルが災いして落選中の身、補欠選挙で返り咲きを期している。露骨な選挙向け支援ではないかと勘ぐられるのは致し方ありません。酒を酌み交わす数少ない友だから、と私的な感情を持ち込んだのでないか。政治家らしい友情の在り方には思えません。具体的な政策展開の場で、指揮系統が混乱する実害の恐れなしとしません。

 

 ∋ 以前、「ヤマタク氏」を指して、自分のためにサンドバッグ役を果たしている、といった妙な”賛辞”を呈したことがありました。大辞泉には、「盟友=かたい約束を結んだ友、同志」とあります。「打算の産物」とは書いてないし、ましてや「私的な都合で利用する」とも翻訳していません。ちなみに山崎氏には、特別職給与法に基づき出勤1日につき約38000円が支給され、首相官邸に専用部屋が割り当てられたといいます。ここには、疑念を抱く「庶民感情」「世間の常識」への配慮があるとは思えません。その意味ではやはり「変人」であり、「冷血」だと言えるのかも知れません。

(鮟鱇)

※Webコラム「一灯」は、ShizuokaOnline.comを運営する静岡新聞社・静岡放送 総合メディア局のスタッフが執筆するオリジナルコラムです。時事問題を中心にさまざまな話題を取り上げていきます。




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