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2004年「Webコラム一灯」

 ジーンズフィフティー

2004/12/08

  UFJ銀行の検査妨害事件で、経営実態をごまかすため融資先に関する資料を隠すなどしたとして銀行法違反容疑で元副頭取ら3人が逮捕されました。中心人物とされる元副頭取56歳、元常務執行役員55歳、元執行役員51歳。いずれも働き盛り、組織の中枢で最も力を発揮する世代の”脱法”は、金融庁への匿名電話の告発で発覚したということです。

 

  3人は、旧三和銀行出身で、UFJの精鋭を集めたとされる融資先再建を専門とする「戦略支援グループ」の中心メンバー、簡単に言えば押しも押されもしないエリートたちのようです。その彼らがなぜ、組織ぐるみの「過剰防衛」を主導することになったか。記事によると、情報収集力や将来を判断する能力に優れているとの評価の一方、我流を通すタイプだったとの声もあるそうです。自信に溺れて墓穴を掘ったのでしょうか。

 

  事件の構図と関係するかどうか分かりませんが、彼らの年齢に注目せざるを得ませんでした。堺屋太一さんが命名した「団塊の世代」は、1947-49年生まれの巨大な人口のこぶです。常に熾烈な競争にさらされ、戦後日本の繁栄の歩みとともに成長しました。今、企業の経営陣や社会各層の指導的ポストを占めるようになり、彼らの価値観が、よかれあしかれ組織の進む方向に大きくかかわるようになっています。

 

  購読している専門誌「新聞研究」11月号に、「人口・社会構造の変化と新聞の未来」という特集がありました。団塊の世代1000万人がリタイア(定年退職)期を迎え日本は否応なく「巨大な老後社会」に進む。超少子、超高齢社会で、ポスト定年、「生活現役」の彼らは「ニューエルダー」、そしてやがて老人になってゆくのだが、その動向が十分予測され、正当に掌握されているかといえば、存外忘れられた世代ではないか。それは、彼ら世代の一種の美学、「俺たちがいるじゃないか」という集団としての自覚的なマニフェスト、自己主張に「居心地の悪さ」を感じる姿勢に原因があるかも知れません。

 

 ∋ 全共闘を構成したように反逆志向、反権力志向であるとともに、アンシャン・レジーム(旧体制)維持の中心勢力になるという矛盾を内包しています。特集記事によると、かつてのベビーブーマーたちは今、「ジーンズフィフティー」と呼ばれるそうです。グループサウンズ、フォークソング、ビートルズに象徴される若者文化をつくり上げてもきました。つまり現在の世相の源流をなしているというのです。後に続く世代の見立てによると、団塊組は「自分流」や専門へのこだわりが強いのが特徴だそうです。

 

  今年のプロ野球界は再編に揺れましたが、当初から球団獲得に乗り出したのは30歳代のITベンチャーの雄でした。世代の相克、妥協、同化、多数派の形成など、これからの社会を動かしてゆく構造改革の断面が、旧弊にあえぐ球界にまず噴出したように思います。いわゆる第2次ベビーブーム世代、団塊ジュニアなど、近い将来に間違いなく社会の中心構造を成す新世代は意外に、父親の世代、団塊の世代に対する共感を抱いているそうです。「ジーンズフィフティー」が、現在の文化の源流を導き出したと評価しているからでしょうか。特集記事も、そのあたりを念頭に、ジーンズフィフティーが独自の暮らしの手法を生み出す時、「新しい大人文化」が登場するのではないか、と予想しています。彼らの高らかな”独立宣言”に期待しているのです。ところでUFJ事件です。過渡期の教訓、反面教師としての側面があるとすれば、それはそれで切ないのですが。

(鮟鱇)




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