∋ 年の瀬に過ぎゆく一年を振り返るのはマスコミの世界に身を置く者の常です。慌しい日々の中で顧みる時間の余裕がなかった出来事を整理し、歴史に何を刻んだ一年だったかを考える。大げさに言えば「現代史の記録者」たる記者にとって不可欠な作業だからです。とはいえ、現実は新聞紙面を飾る「重大ニュース」を見て時のたつ速さに感慨を深め、ただただ流されて過ごしてきたわが身を反省するだけなのですが。
∋ 28日の静岡新聞朝刊に「県内」「国内」「国際」に分けて「2004年重大ニュース」が掲載されました。例年にも増して不幸な出来事が多かった気がする2004年でしたが、静岡新聞サイトの特集・静岡「2004重大ニュース」でもご覧いただける県内の重大ニュースに限って言えば、明るい話題も少なくはありませんでした。
∋ 成功裡に終った浜名湖花博はさまざまな意味で静岡県の底力を感じさせた催しでしたし、アテネ五輪体操男子団体での水鳥寿思選手の金メダルや富士市出身の宇宙線物理学者、戸塚洋二氏の文化勲章受章は快哉を叫びたくなる出来事でした。政令市「静岡市」や新「浜松市」の誕生が決まったことも、中身が問われるこれからこそが大事ですが、「地方分権の時代」に向け着実な足跡を記した出来事ととらえるべきでしょう。
∋ 同じ静岡新聞サイトの特集・全国「2004年10大ニュース」をクリックしていただくと、静岡新聞社も名を連ねる共同通信加盟各社の「地元10大ニュース」がご覧いただけます。「平成の大合併」による新市の誕生や五輪などスポーツでの郷土選手の活躍は、各地に共通な「話題の出来事」だったことが各地方新聞社の重大(10大)ニュースからうかがえます。
∋ 気になったのは悪いニュースにも共通項が目立ったことです。「異常気象」を印象付けた今夏の猛暑や度重なる台風禍が所を選ばなかったのは当たり前としても、「警察の裏金問題」「産業廃棄物の不法投棄」「相次ぐ偽装(不正)表示」等々、タイトルを見ただけでは地域が分からないような項目が各紙の上位に並んでいます。静岡新聞をはじめほとんどの地方紙ではランク圏外でしたが、「おれおれ詐欺・振り込め詐欺」や「個人情報の漏洩」事件の多発なども、紙面を飾った記事の数だけで競うならば揃って上位に入る項目だったに違いありません。
∋ 思えば、子供が被害者となる事件や、いともたやすく複数の人命を奪う凶行も、各地で相次いだ年でした。新聞紙面をにぎわす出来事が時代の病巣を映しているとすれば、社会病理の暗雲は「地域」を軽々と超えて国全体を覆いつくしているかのようです。あるいは逆に、情報化や画一的な都市化の進展が、「地域性」を薄めている表れとみるべきなのでしょうか。地域に根を張る報道機関の紙面から浮かび上がるのは、凶事もまたボーダレス化が進むこの国の実相です。
(鯔)