ShizuokaOnline
オリジナルコンテンツ

ShizuokaOnlineのオリジナル企画。旬な話題を動画を交えてレポート。New! 
「大人」の読者にじっくり味わってもらいたいニュースが満載。「寄稿・わが至福の時」も好評です。
静岡県内の大学の話題は「キャンパス・ナビ」でチェック!
県内トップアスリートに迫る動画インタビューをお届けします。 
子育て世代に役立つ話題満載の交流広場です。
最新情報やニュースをケータイサイトでもチェックできます。お得なグルメ情報も掲載!

ポッドキャスティング

47News
家康囲碁道場
静岡ぐるめ探検隊
ShizuokaOnline(静岡新聞社・静岡放送オフィシャルサイト) > Webコラム一灯 > 2004年「Webコラム一灯」

2004年「Webコラム一灯」

 イチローを知りたい

2004/10/05

 ∋ 大リーグ・マリナーズのイチロー選手の数々の記録にいろどられたシーズンが幕を閉じました。「262」の最多安打の歴史的快挙とともに、彼の人物・素顔も語り尽くされた感があります。いまさら素人が、稀代のバットマンを評論することもないでしょう。ただ、不思議に記憶に残るコメントがありました。

 

 ∋ かつての同僚佐々木投手の一言です。「彼(イチロー)は野球小僧ですよ」。なるほど野球伝道師の強烈な使命感を胸に、わき目もふらず、冷静にプレーするようにみえるが、「趣味人」の隠れた素顔、好きなことを好きなままに楽しむひょうひょうとした表情がありそうです。ロッカールームをともにする人らしい評だと思いました。

 

 ∋ ストイシズムという語があります。克己、禁欲などと訳します。辞書には、「感情にとらわれず、快苦に惑わされない」「厳格な義務感」などと出てきます。無愛想ともみえる窮屈なまでの態度、プレー以外での評価の介入を許さない誠実さ、徹底した自分流へのこだわりに、周囲は「求道者」のモデルを求め過ぎたのかも知れません。イチロー本人が、「野球は趣味か仕事かと聞かれれば、僕の場合はバリバリ趣味です」とこたえています(3日付け静岡新聞朝刊)。

 

 ∋ とはいえ、ただ楽しむだけでは一流になどなれるはずもありません。彼を「力」という視点で眺めてみました。まず「目標設定能力」、つまり「志」の確かさがあります。彼は、「技術的にだけでなく精神的にも一段上に行くチャンス」として、野球を選択したと言っています。

 

 ∋ 「視力」がすぐれているのも驚異的です。米国の仲間は、「彼はみんなに見えないものを見分けられる」と賛辞を寄せています。打席での選球眼はもちろんです。アスリートとしての動体視力でしょう。それ以上に、野球の本質を見抜く「洞察力」のことです。パワー信仰が早晩行き詰まり、この競技本来の姿に回帰することを予測していたと思います。技とスピードの威力です。足の速さ、強肩、鋭いバットスイング。ドーピングに行き着いてしまったパワー信仰の対極にある「基礎体力」は、小柄な選手をはじめ、だれにも等しく与えられた財産です。イチローはそれを、磨きに磨いたのです。

 

 ∋ 何より「脳力」です。これも同僚の評です。「彼はスマート(頭がいい)」と言うのです。状況を読み、先を予測し、自らの対応を瞬時に判断する。脳力は、経験が生み出すものでしょう。これらの「力」が「野球小僧」に結集したのでした。確固とした生きがいを手にした者が持つ自信と充足の先に、「勝負の世界の醍醐味」を「わくわく、どきどき」楽しむ趣味の世界がありそうです。30歳の若さで、彼は飄逸(ひょういつ)の境地を知ったのではないでしょうか。まさに一種の悟りです。やはり凡人には遠い、求道者の世界です。

(鮟鱇)

 

※Webコラム「一灯」は、ShizuokaOnline.comを運営する静岡新聞社・静岡放送 総合メディア局のスタッフが執筆するオリジナルコラムです。時事問題を中心にさまざまな話題を取り上げていきます。




メール メールで記事を紹介 印刷 印刷する



[特集]


ここから関連ニュース・バックナンバー

バックナンバー

言葉の沃野を 2004/12/31  
凶事の連鎖 2004/12/30  
津波 東海地震の巣に在って 2004/12/29  
tsunami スマトラ沖からの恐怖 2004/12/28  
子どもの風景04 2004/12/24  
母の涙(続)-娘を奪った者に 2004/12/21  
富士山の地主さん 2004/12/18  
母の涙-この加虐的な世 2004/12/16  
「学生さん」どうした 2004/12/12  
ジーンズフィフティー 2004/12/08  
大使のたしなみ 2004/12/03  
週刊地震新聞200号 2004/11/30  
埼玉-藤枝  地域とともに(続) 2004/11/29  
カズが、ゴンが、 地域とともに 2004/11/25  
韓流余聞 2004/11/22  
母が見抜いた独裁国家の恐怖 2004/11/18  
強弁が切り捨てたもの 2004/11/14  
蜘蛛の足 2004/11/10  
風の盆、大道芸 2004/11/08  
田臥勇太というドリーム 2004/11/05  
「楽天VSライブドア」余聞 2004/11/04  
むごい、あまりにむごい 2004/11/01  
無垢の生命が教えるもの 2004/10/28  
父祖の地 2004/10/26  
土手の花見 2004/10/22  
ノー・ノー法相 2004/10/21  
魂が聞き耳をたてる(続) 2004/10/17  
心が被災する 2004/10/13  
台風22号 悪魔の咆哮 2004/10/12  
魂が聞き耳をたてる 2004/10/11  
実物感覚が忘れられていませんか 2004/10/10  
花博リピーター 2004/10/08  
秘すれば美 2004/10/01  
閣僚のホームページ 2004/10/01  
冷血(?)の涙、変人の友情 2004/09/29  
古田敦也の涙 2004/09/25  
「おまち」がなくなる 2004/09/24  
「象牙の塔」発「知の連携」 2004/09/23  
カジュアル・フライデー 2004/09/19  
その名は山葵(下) スローフード紀行 2004/09/18  
その名は山葵(中) スローフード紀行 2004/09/17  
その名は山葵(上) スローフード紀行 2004/09/16  
”現場”が泣いている(下) 2004/09/14  
”現場”が泣いている(上) 2004/09/13  
稲むらの火 2004/09/10  
貧困なるクルマ社会 2004/09/06  
イワシが消える? 2004/09/03  
9月1日でなくてもできること 2004/09/02  
アテネ・インソムニア 2004/08/30  
球界黒い霧 2004/08/27  
メダルラッシュの先には 2004/08/24  
井上康生の憔悴 2004/08/21  
文豪の宿-新聞小説史を楽しむ(5)完 2004/08/20  
超、気持ちいい 2004/08/20  
文豪の宿-新聞小説史を楽しむ(4) 2004/08/19  
文豪の宿-新聞小説史を楽しむ(3) 2004/08/18  
文豪の宿-新聞小説史を楽しむ(2) 2004/08/17  
文豪の宿-新聞小説史を楽しむ(1) 2004/08/16  
戦争を知っている子どもたち 2004/08/15  
史上最悪の事故 2004/08/14  
エーゲ海の風 2004/08/13  
サッカーミュージアムを見る 2004/08/09  
たそがれのスパイ 2004/08/05  
権現様の古時計 2004/07/31  
世界一の権力者選び 2004/07/30  
皆さまの公共放送、ですか 2004/07/26  
118校の頂点 2004/07/23  
曽我ひとみという人生 2004/07/20  
稚気かわいからず 2004/07/17  
華氏911 2004/07/16  
新庄剛志のおだっくい 2004/07/15  
人生いろいろ選挙 2004/07/12  
団塊は朽ちず 2004/07/08  
ビキニ、イラク、沼津 2004/07/08  
カリスマとしての俳優 2004/07/05  
子どもたちの荒野 2004/07/01  
ただ消え去るのみ 2004/06/30  
ベッカムは屈しない 2004/06/28  
指導者たるもの 2004/06/24  
最後の元老 2004/06/24  
猛牛あえぐ 2004/06/22  
はるかなる20世紀 2004/06/16