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2004年「Webコラム一灯」

 花博リピーター

2004/10/08

 ∋ 4月から浜名湖畔で開かれてきた「浜名湖花博」が間もなく幕を閉じます。酷暑、相次ぐ台風の襲来と「異常気象」に泣いた中、屋外主体のイベントでありながら当初目標に掲げた500万人を超える来場者を集めたのですから、主催者側が「成功」と自賛しても取りあえず文句は出なさそうです。500万人目の来場者を迎えたセレモニーでの関係者の表情には、素直な喜びと安堵感がみなぎっていました。

 

 ∋ 数字の実績がモノを言ってか、関係者の「勝因分析」はそれぞれに説得力があります。「花の威力のすごさをあらためて感じた」と言ったのは石川嘉延県知事。確かに展示物が工業製品のように無機質な人工物であったら、これほど多くの人を集めることができたか疑問です。息吹や安らぎを感じ、愛情や癒しを覚える植物が主役だったからこその数字でしょう。

 

 ∋ 主催の静岡国際園芸博覧会協会の鈴木修会長は「花をこまめに植え替えて、何度も来たくなるように工夫したのが特によかった」とリピーター(再訪者)の獲得が目標突破につながったとの見方を示しました。実際、「3回行った」「4回訪れた」という声を身近にも聞きました。逆に「2度と行きたくない」「行くことを勧めない」という意見は周囲には皆無でした。淡路島の花博にも行ったことがあるという知人は、見事に手入れされた草花、訪問の回を重ねるごとに生長が実感できる樹木の姿を賞賛する一方で、会場の休憩所や日よけの配置、運営スタッフ、ボランティアらのきめ細かな配慮にいつも感心していました。

 

 ∋ きちんと調べたわけではありませんが、「リピーター」という横文字を最初に使い出したのは東京ディズニーランド(TDL)の運営会社だったように思います。「お得意さん」「一見さん」という言葉があるように、再訪者を大切にする思想はサービス産業の伝統になかったわけではありません。ただ、アメリカ由来の会社、それも固定的な遊具(ハード)が売り物になる遊園地のような施設が、戦略的に再訪を促す仕掛け(ソフト)を強く意識していることに、新鮮な感じがしたのを覚えています。

 

  TDLには路上を清掃する専門の従業員がいて、園内は常に吸い殻一つ落ちていない状態となっているのはよく知られています。花博会場もまた、「園内が清潔」という声をよく聞きました。要因の1つに来場者がポイ捨てをためらう雰囲気があったとすれば、これも「花の威力」でしょうか。その花という素材の力を存分に引き出したのは、県内の園芸関係者ら裏方の丹精と運営を下支えしたボランティアらの労苦。つまり「ソフト」です。

 

  大規模な展示替えや日替わりで繰り広げられた催事だけが、リピーターを惹きつけ、飽きさせなかったわけではありません。「来場者に楽しんでもらえることが喜び」。500万人突破を報じる10月4日の静岡新聞朝刊にスタッフ、ボランティアのそんな声が紹介されていました。スタッフやボランティアらの「もてなしの心」が積み上げた500万の笑顔。それが県民の自信や励みにつながり、新たな活力を生み出す。これこそが県の言う「大交流時代」のイベントの意義なのでしょう。

(鯔)


※Webコラム「一灯」は、ShizuokaOnline.comを運営する静岡新聞社・静岡放送 総合メディア局のスタッフが執筆するオリジナルコラムです。時事問題を中心にさまざまな話題を取り上げていきます。

 




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