ShizuokaOnline
オリジナルコンテンツ

ShizuokaOnlineのオリジナル企画。デジ記者が旬な話題を動画を交えてレポートします。
「大人」の読者にじっくり味わってもらいたいニュースが満載。「寄稿・わが至福の時」も好評です。
静岡県内の大学の話題は「キャンパス・ナビ」でチェック!
県内トップアスリートに迫る動画インタビューをお届けします。
子育て世代の情報・交流の広場です。※アンケート実施中!ご協力ください。
最新情報やニュースをケータイサイトでもチェックできます。お得なグルメ情報も掲載!
志らべのいっピン!

ポッドキャスティング

47News
家康囲碁道場
静岡ぐるめ探検隊
ShizuokaOnline(静岡新聞社・静岡放送オフィシャルサイト) > Webコラム一灯 > 2005年「Webコラム一灯」

2005年「Webコラム一灯」

 痛みの先に 戦無派の物思い(5)

2005/08/16

  地方を巻き込んだ道路公団民営化論議は、構造改革の柱の一つでしたが、委員会の空中分解もあって、このごろは話題にも上らなくなっていました。そうこうするうちに、官製談合の典型とされる橋梁談合が摘発され、公団副総裁の逮捕・起訴にまで急展開しました。天下りの宿痾(しゅくあ)も含め、郵貯資金の流れ、日本の公共事業の在り方を問う深刻な事件です。郵政選挙に浮き足立つ国会の反応の鈍さは驚きでした。

  社会の閉塞感、不安感の深層には、将来の暮らしの見通しにくさがあると思われます。その典型が「年金」で、昨年、未納問題があれだけの騒動になったのも当然でした。最近、年金のねの字も聞きません。増税の話が持ち出されても、官民ともに議論が沸騰するといった場面はありません。イラク? 自爆テロの残虐な映像にも、既に感覚が麻痺したのか政府の政策の妥当性など脇に追いやられています。

  何度か繰り返されてきた失望ですが、北朝鮮の核をめぐる6カ国協議は休会になってしまいました。日本人拉致問題もまるで決着済みのごとくです。酷暑の中で政府による救出策を求めて署名運動を続ける被害者家族の焦りが理解できます。2004年春の2度目の小泉訪朝がよみがえります。帰国した首相は、会談の結果を報告するため家族の待つホテルに赴きました。期待が大きかった分、落胆した人たちからは、激しい罵声が浴びせられました。

  会場にはテレビカメラが入っていました。怒りをぶちまける家族が映し出されました。一国の総理に対しての態度か、という批判が殺到し、被害者である家族らが悄然としたのは言うまでもありません。国民の支持を背に政府をようやく動かしてきただけに、孤立感は一層だったでしょう。日朝のはざまで、理不尽にも子どもや兄弟を奪われた。老いが迫る彼らに残された時間は少ない。戦後60年、置き去りにできない問題が根本的解決の兆しすらなく横たわっているのに、「すべての道は郵政に通ず」という雰囲気です。

  政策に強いといわれた自民党の働き盛りの衆院議員が先日、自殺しました。郵政をめぐる賛否の判断に迷い抜き、採決における選択の結果について悩んでいたと伝えられました。真剣に考え尽くした結果の悲劇、痛ましい限りの54歳の自死でした。選挙で落としてやる、といった脅しがあったといわれます。刺々しい、いや残虐とさえいえる時代の空気を象徴していないでしょうか。

  ときどきに、政策課題がめまぐるしくうつろいます。それぞれがどのように処理されて、解決したのか持ち越されたのか-など、しかとつかめません。構造改革が主語なら、助詞のごとくに付随するのが「痛み」です。だれが痛みをこうむるか、どこからの発想なのか。癒される可能性があるのか、対価は何か。その先には何があるのか。言葉は一人歩きし、実態がみえにくいのです。痛みに耐える、と言葉にするのは簡単なのですが。

(鮟鱇)




メール メールで記事を紹介 印刷 印刷する



[特集]


ここから関連ニュース・バックナンバー

バックナンバー

遺跡の声を聞く 2005/12/29  
ジャック・アンダーソンの死 2005/12/22  
日本のフェイルセーフ 2005/12/19  
桜吹雪は拝めたか 2005/12/15  
カナリアを追う 2005/12/12  
砂上の楼閣 2005/12/08  
町から子どもが消える? 2005/12/04  
国技の無国籍化 2005/11/30  
偽造の重罪 2005/11/24  
古書に浸る 2005/11/23  
書" 道" 2005/11/19  
とんぼの里 2005/11/12  
ハママツは世界ブランド 2005/11/08  
オリオンズよ 2005/11/03  
「簡潔明瞭」の陥穽 2005/10/28  
国をつくるということ 2005/10/21  
26番目の選手 2005/10/18  
4000年の歴史 2005/10/14  
がれきが語るもの 2005/10/12  
匠を見よ 2005/10/09  
”盟主”の責任 2005/10/06  
二足のわらじ 2005/10/02  
凛然たる女性たち 2005/09/29  
おだっくい超世代 2005/09/25  
阿波の傑物 2005/09/22  
読書民族の美学 2005/09/16  
「審判済んで夜が明けて」 2005/09/12  
シネマ&テアトル 2005/09/08  
「地気」と芸術 2005/09/04  
カトリーナの魔手 2005/09/03  
大学サバイバル 2005/08/29  
本のにおい 2005/08/25  
沈黙する知性 戦無派の物思い(7完) 2005/08/22  
言葉の漂流 戦無派の物思い(6) 2005/08/20  
「戦い取るもの」 2005/08/19  
戦争の時効 戦無派の物思い(4) 2005/08/15  
単「純化」 戦無派の物思い(3) 2005/08/14  
コイズミが来た 戦無派の物思い(2) 2005/08/12  
戦後還暦解散 戦無派の物思い(1) 2005/08/11  
時代の気分は「情けない」 2005/08/07  
宇宙ラーメンを食べたい 2005/08/04  
都市難民 2005/07/31  
それでも天下りですか 2005/07/28  
野茂にノー・モアはない 不死鳥よ(下) 2005/07/26  
カズはピッチに 不死鳥よ(上) 2005/07/26  
ソフト・ターゲット 2005/07/22  
野球は文化か 2005/07/17  
ネポティズムという宿痾 2005/07/14  
情報源の秘匿 2005/07/12  
暴力の連鎖 2005/07/08  
オイルショック再び? 2005/07/06  
公団、天下り、談合 2005/07/02  
骨太と鉄面皮 2005/06/30  
”らしくない”人々 2005/06/25  
貪欲なるストライカー 2005/06/23  
「金時持ち」遥か 2005/06/19  
家族の絆 2005/06/16  
総中流の幻想 2005/06/12  
宮本という名作 ドイツ切符(下) 2005/06/10  
ジーコの意地 ドイツ切符(上) 2005/06/09  
”W杯”ゴール目前 2005/06/04  
綿々、技の伝承 2005/06/02  
蓮池薫さんのライフワーク 2005/05/29  
病診連携 2005/05/26  
破壊の行き着く先 2005/05/21  
戦争の下請け化 2005/05/19  
デビッド・リーンが描いたもの 2005/05/15  
情報過疎の戦場 2005/05/12  
徳富蘇峰と文学の森 2005/05/08  
力士・片山の夏 2005/05/05  
三島由紀夫の小遣い帳 2005/05/03  
田中一村 植物を描き尽くす 2005/05/01  
融和する美-花の不思議 2005/04/29  
男のスーツ 2005/04/27  
M&A劇場-額に汗する者は 2005/04/24  
M&A劇場-従業員さまいずこ 2005/04/22  
M&A劇場-団塊の観客たち 2005/04/20  
「舞姫をたどる」 2005/04/17  
異文化同化 2005/04/14  
“聖地” の憂鬱 2005/04/10  
フットボール 日独の紐帯 2005/04/07  
水の風景 2005/04/02  
内なる国際化 2005/03/31  
「方言万歳」 2005/03/26  
「万博 35年後」 2005/03/21  
「万博 35年前」 2005/03/20  
伝説の豪腕-持続する志 2005/03/17  
適材適所 2005/03/13  
球春来たる 2005/03/10  
スターの染み入る言葉 2005/03/06  
「父」の崩壊 2005/03/03  
大いなる二番手 2005/03/01  
黒はんぺん賛歌 2005/02/26  
「情」と「効率」 2005/02/23  
ベビー81 2005/02/19  
17歳の閉塞 2005/02/16  
信用無用 2005/02/12  
ヒーローは燃え尽きない 2005/02/10  
はとバスご一行様御成り 2005/02/06  
楽天的野球論 2005/02/02