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2005年「Webコラム一灯」

 大学サバイバル

2005/08/29

  私立大学の事務部門の責任者の方に話を聞く機会がありました。ひたひたと忍び寄る少子高齢化社会への危機感を、メディアでは頻繁に目にし耳にしますが、その現実感といえばいまだに乏しいのではないでしょうか。影響を直接こうむる現場の声は切実です。大学全入時代が喧伝されますが、これまでにも増して厳しく「選別される」時代でもあるのです。サバイバル競争を意識せざるを得ないといいます。

  親方日の丸、護送船団でやってきた戦後日本経済は、銀行の不倒神話を生みましたが、「失われた10年」では、大銀行があっけなく潰れるさまをみせつけられました。象牙の塔も同様に、厚い庇護のもとにあるとみなされがちでした。山口県の私大が、大幅な定員割れで経営不振に陥り再生法の適用を申請したように、実際は淘汰の波が知性の府を洗い始めているのです。

  総合大学では、学内でのしのぎ合いがあるようです。よほど魅力あるカリキュラムを用意するなどして、学生を集めるのでしょう。志望学生を他の学部に奪われないようにすることも視野に、社会状況、環境、時代の流れを見つめ「今、訴えるべき」ポイントを模索しているのです。

  大学”冬の時代”に衝撃的なデータが出てきました。厚生労働省の人口動態統計(速報)によると、今年1-6月の死亡数は出生数を上回り、半年間で人口は3万1000人余減ったというのです。通年でも人口減になる可能性を否定できないと伝えられました。非情な数字を突きつけられました。

  国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の人口は、2006年の1億2774万人をピークに07年から減り始め、2050年には1億59万人に落ち込むと予測されてきました。つまり、予測より1年早く人口減少時代に入るということです。

  国立大学は法人化され、さまざまな可能性に向けて裁量が広がると同時に、”自立自活”を求められています。この新しいシステム下で初の国立大04年度決算がまとまりました。全89大学のうち88大学で総利益が計1100億円で、ひとまず安堵ということでしょうか。静岡大学は総利益7億円で全大学中41番目だったそうです。

  世はまさに「数値化」ばやりです。評価方法として確かに分かりやすいのです。知の到達度など教育、研究の分野になじむかはおいて、趨勢になっているのは間違いありません。収益とかコスト意識とは比較的縁遠いとされてきた大学も、データで評価されるとなれば、数字にこだわらざるを得ないでしょう。地域社会への貢献なども、何らかの数値で表現するようになってゆくのでしょうか。

  少子高齢化が、国の活力にかかわる重大な課題であることは周知していますが、では処方箋は? となると、にぎやかな議論の割にはみえにくいのが現状です。国民挙げて取り組むテーマとして、文化論的、巨視的な議論を各分野の指導者に求めたいと思います。最初の”被害者”として大学が駆逐されるような事態になれば、日本の知の活力が衰えます。それこそ深刻な国家的窮状です。

(鮟鱇)




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