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2006年「Webコラム一灯」

恐竜展に“進化”をたどる

2006/08/21

  恐竜の血液を吸った蚊が化石となった、その“古代の蚊”から恐竜の血を抽出し、DNAを使って絶滅したはずの恐竜のクローンを現代によみがえらせる…。突拍子もない発想が、1993年公開の米映画「ジュラシック・パーク」の面白さでした。恐竜のテーマパークで、いかにも凶暴、狡猾なティラノサウルスが牙をむく恐怖感にはリアリティーがありました。

 

  スティーブン・スピルバーグの監督、製作総指揮によるシリーズは、97年、01年にわたり3作を生みました。コンピューター技術を駆使した特撮による迫真性は、恐怖映画、SFに新たなジャンルを確立することになりました。

 

  最近、ピーター・ジャクソンの「キング・コング」をDVDで鑑賞しました。「ロード・オブ・ザ・リング」で名声を得た彼は、1933年製作の伝説的名作「キング・コング」のリメイク版への挑戦にこだわっていたと聞きます。アカデミー賞監督をとらえて離さなかったのは、何だったのでしょうか。ジャクソン版コングでは、ティラノサウルスにおびえ狂ったように逃げる草食恐竜の足元を、人間たちが踏みつけられそうになりながら疾走するシーンが秀逸でした。特殊技術によって現代と古代が融合した怪獣映画となりました。

 

  浜松科学館で開催中の「恐竜展 大空に羽ばたいた恐竜たち」を見てきました。薄い土の板に刻まれた昆虫の、透明の羽根が浮かび上がってくるかのような化石に息をのみました。「ジュラシック・パーク」の蚊の化石を思い出したからです。

 

  実物の説得力に尽きます。視線を凝らす家族連れの観覧者から「リアルだね」との感嘆の声がもれます。中国で発掘した始祖鳥の長い尾には、はっきりと羽毛の跡があります。学生のボランティアガイドが示すパワーポイントの赤い光点が、原始をしのばせる生物の形状をたどっています。

 

  ジュラ紀、白亜紀……。1億数千万年の時を超えて、泥や砂の層が生命の神秘を守り抜いてきたのです。恐竜から鳥類へ、あるいは魚類、昆虫にいたるまで生物に進化の歴史が与えられました。化石の層が、生命をはぐくむ地球の成長をも物語ります。謎をはらむこの進化の歴史に分け入るのが現代科学です。そして私たちは今、その科学の恩恵に浴しているのです。ところで、人類は進化を続けているのでしょうか。霊長類の犯す愚行、蛮行の氾濫、生命の軽視に暗然とするのではないでしょうか。

(鮟鱇)




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