∋ うまいと評判のうどんを知人が送ってくれました。家人は、茹で加減に結構気を遣っているようでした。葱(ねぎ)を添えるだけでいただきましたが、近ごろは便利になりました。麺に合う出汁(だし)のスープがついています。鰹節(かつおぶし)の風味も、そこそこ生かされています。以前は、家庭で削ったものでした。
∋ 大工仕事に使用する鉋(かんな)を刃を上に向けて箱に取り付けたような、削り器がどの家にもあったと記憶します。世界で最も堅い食品といわれた鰹節をあてて削るのですが、子どもも手伝いに駆り出されたものでした。パック詰めの鰹節削りが普及した今では、目にすることもまれになりました。自宅にも確か買い置いてあったはずだが、と探しましたが、見つかりません。
∋ 思い立ってネットショッピングのページを検索してみました。1500円程度の見慣れた造作のもの、高級品では20000円台のものまで、あるある。写真で見る限り、かき氷をつくる器具のように手回しで削る種類もあるようです。匠用の替え刃付きなどというものまで登場しています。恐らく“通(つう)”がいるのでしょう。
∋ 密封パックは、何と言っても手軽です。自分なりに、使い方を工夫します。ホウレンソウのおひたしなら、レモンを絞って、その上にさっと鰹節削りをまき、醤油を少々注ぎます。マヨネーズをかけることもあります。薄味のたくあんには、削り粉をまぶすのが好みです。湯豆腐のたれの味を引き立てるのも鰹節です。調味料の原点みたいなもので、用途はさまざまでしょうが、日本の食文化に欠かせないことだけは間違いありません。
∋ 「しずおか辞典 発見伝」には、鰹を煮て燻(いぶ)し、黴つけの後乾燥した鰹節は、静岡県内では1801年に伊豆に伝わった「薫乾法」が伊豆節として名声を高めたとあります。その後、田子節、焼津節も知られるようになったとか。焼津鰹節水産加工業協同組合が、「焼津鰹節ブランド戦略推進委員会」を発足させた、と静岡新聞地方版に出ていました。焼津地域で生産される鰹節のうち、一定の基準を満たした製品に組合が「焼津鰹節」のブランド使用を認める、これにより卓越した加工技術の継承を訴求し、消費者に選ばれる産地を目指す、ということだそうです。
∋ 特許庁は、地名と商品名を組み合わせた商標「地域ブランド」として全国の団体から申請され登録要件を満たしているものについて、認可しました。静岡県内では、「駿河湾桜えび」、「由比桜えび」そして「焼津鰹節」の3件が商標権を獲得することになったのでした。水産加工業協組の委員会は、組合役員、壮年組織、行政機関関係者らで構成されます。議論に注目したいと思います。
∋ 全国標準ともされる「焼津節」が戦略ブランドとして普及するのが楽しみです。鰹節を、自分流の料理に自在に使う人も多いでしょう。そこが、この伝統の保存食品の柔軟性です。先人は、味な逸品を残してくれたものです。
(鮟鱇)