ShizuokaOnline
オリジナルコンテンツ

ShizuokaOnlineのオリジナル企画。デジ記者が旬な話題を動画を交えてレポートします。
「大人」の読者にじっくり味わってもらいたいニュースが満載。「寄稿・わが至福の時」も好評です。
静岡県内の大学の話題は「キャンパス・ナビ」でチェック!
北京五輪出場の静岡県勢を特集(動画インタビュー)。NEW!!
子育て世代の情報・交流の広場です。
最新情報やニュースをケータイサイトでもチェックできます。お得なグルメ情報も掲載スタート!
志らべのいっピン!

ポッドキャスティング

47News
家康囲碁道場
静岡ぐるめ探検隊
ShizuokaOnline(静岡新聞社・静岡放送オフィシャルサイト) > Webコラム一灯 > 2007年「Webコラム一灯」

2007年「Webコラム一灯」

 守屋喚問

2007/10/29

   記憶は定かでありませんが、若い日の研修で、首相官邸の官房長官会見を傍聴したのだったと思います。藤波孝生氏が、淡々と応答していました。政治家といえば、あくの強さをイメージしていましたが、俳人として知られる藤波氏は、穏やかで清廉という評判通りに見受けられました。宰相候補に擬せられることもあった中曽根内閣の大番頭はしかし、リクルート事件で起訴され有罪が確定したのでした。政治家が身ぎれいで貫き通すことの難しさを想像しました。華やかな言動、行革などで長期政権を率いた総理・中曽根氏とコントラストをなす地味な文人政治家は、74歳で亡くなりました。訃報の扱いは、どの新聞も大きなものでした。

 

   静岡新聞夕刊社会面の記事を眺めながら、防衛商社との癒着を問題視されている守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問のテレビ中継を視聴しました。「わたしたちがイラクやインド洋で汗を流していた時、次官はグリーンの上で汗を流していたのか」。現場の自衛官としては、やりきれない思いだったでしょう。つい先日までのボス、政府委員として答弁に立ったこともあるでしょう、自信に満ち傲慢にもみえた庁・省のエースがこうべを垂れているのです。

 

   もう随分以前の映像が焼きついています。衆人環視の委員会室。極度の緊張で手が震え、満足に署名できない証人でした。守屋証人は、金色のボールペンでしょうか、すらすらと署名、捺印しているようでした。防衛トップの不祥事を問わなければならない喚問を、特別委の委員長は、「法案審議に費やさなければならない貴重な時間を割くのだ」と苦々しげに指摘していました。

 

   情けない、嘆かわしい。質問者の共通した怒りでした。「年に20回以上から30回、5年で100回超」。あっさり認めた過剰なゴルフ接待。10年なら、その倍か。回数もさることながら、正体を隠すことを薦められ、ゴルフバッグにつけるタグ(札)も偽名だったそうです。疑念を抱かれる関係だったことを自覚していたからこその工作でしょう。

 

   自衛隊員の倫理規定とりまとめの中心人物だった、倫理監督官の立場にあったことも、との指摘でした。調達、契約など職務にかかわる追及は物足りず、便宜を図ったことは一度もない、と本人は否定していましたが、「おねだり次官」などという表現が生まれただけでも国防への信を揺るがし、職を損ねたことになります。

 

   藤波氏の死亡記事には、政界からの引退表明時に心境を詠んだ句が紹介されています。「晴ればれと梅雨明けここに四十(しじゅう)年」。このような心境に立ち至るのは至難のことと思います。「粗にして野だが卑ではない」という書名がありました。卑でないことこそ、公人の要件でしょう。これが禊(みそぎ)でしょうか。すっきりしない喚問でした。「鬱うつと秋寒(さむ)ゴルフ200回」とでも皮肉るのが、精一杯です。

(鮟鱇)




メール メールで記事を紹介 印刷 印刷する



[特集]


ここから関連ニュース・バックナンバー

バックナンバー

横着な時代 2007/12/26  
分かりやすさの陥穽 2007/12/20  
言の葉朽ちる 2007/12/14  
与謝野晶子の筆遣い 2007/12/10  
資生堂企業資料館 2007/12/01  
藤枝ダービー 2007/11/28  
ミシュランガイド 2007/11/21  
ユニバーサル技能五輪 2007/11/16  
鉄腕稲尾が逝った日 2007/11/14  
大道芸と一服 2007/11/10  
小沢“辞任”始末 2007/11/07  
小沢病 政治エリートの蹉跌 2007/11/05  
お茶を噛む 2007/11/02  
文学全集がきた 2007/10/26  
小諸なる-- 2007/10/22  
小布施、場の文化 2007/10/18  
アル・ゴアの平和賞 2007/10/13  
ああ相撲協会 2007/10/06  
小川国夫と文学館 2007/10/03  
魚食礼賛 2007/09/28  
間の悪い政治 2007/09/25  
新総裁に寄せる 2007/09/23  
辞典変転 2007/09/16  
総理去る 2007/09/12  
同時テロ6年 2007/09/11  
台風 2007/09/07  
隣近所 2007/09/04  
横浜、呼吸する風景 2007/08/30  
日本予見 警世の人・阿久悠 2007/08/22  
甲子園の夏、ある訃報 2007/08/18  
国が負けるということは 阿久悠「ラヂオ」から 2007/08/15  
歩く 2007/08/10  
アジア杯優勝とイラク 2007/08/06  
証文の出し後れ-農相と横綱と 2007/08/02  
民意の重さ 2007/07/30  
女王のミイラ 2007/07/24  
家庭人の素顔-小泉八雲と焼津 2007/07/18  
海よ-小泉八雲と焼津 2007/07/12  
新弟子受検ゼロ 2007/07/06  
宇宙食で鯖の味噌煮 2007/06/29  
新井満と「千の風-」 2007/06/22  
和食朝食 2007/06/18  
富士をイメージする 2007/06/15  
文学の使徒 2007/06/11  
北朝鮮、国家の暴虐 2007/06/07  
風土が培うもの 2007/06/01  
ご当地グルメ 2007/05/29  
帰ってきたガルネリ 2007/05/23  
家族の肖像 2007/05/18  
文化のIT変化(へんげ) 2007/05/14  
お疲れさま、栃東 2007/05/08  
義肢提供のNGO-ルワンダってどこ?(下) 2007/05/06  
描かれたジェノサイド-ルワンダってどこ?(上) 2007/05/05  
排煙御法度 2007/05/04  
定年力検定 2007/05/03  
頃合い 2007/04/30  
裁判員になる 2007/04/24  
教えを“聞く” 2007/04/19  
握力フリーク 2007/04/16  
現代書と美空間 2007/04/12  
スポーツのカタルシス効果とは 2007/04/09  
いまどきの入社式 2007/04/03  
「ライフ」誌の命 2007/03/29  
鉄路に刻まれる記憶 2007/03/24  
本に憑かれた男 2007/03/19  
現代文学の巨匠を慕う人々 2007/03/15  
ワサビの聖地 2007/03/09  
ご当地博士 2007/03/05  
円楽さんの美学 2007/02/28  
グループサウンズ 2007/02/23  
有森裕子のラストラン 2007/02/19  
焼津の鰹節 2007/02/16  
「観光」新撰 2007/02/12  
アコースティック・ギター 2007/02/08  
マグロの虜 2007/02/02  
街の美術 2007/01/29  
漢字が伝える 2007/01/19  
方言かるたの重み 2007/01/15  
彫刻家・重岡建治-芸術家の支え 2007/01/11  
年の初めのジェネレーション 2007/01/04  
風土と言葉 2007/01/01