∋ 昨年末、正月食品の買い出しに運転手役で駆り出され、魚市場やスーパーなど数店を回りました。「食の偽装」が食卓を脅かした年のこととて、商品のラベルを点検したりして時間をつぶしましたが、いや驚きました。安売り店に並ぶ乾物などのたぐいは、大半が輸入ものでした。「原産国」表示のエジプト産ジャム、ハンガリー産冷凍肉などは初めて目にしましたが、種類を選ばず断然多いのは「中国」です。安全性が問題視された時期がありましたが、さすがに「世界の工場」です。既にマーケットを席捲しているのです。
∋ 2年前、訪中の機会に沿海部を中心に数都市を垣間見ました。行きずりの旅行者には、内陸の貧困を引き合いに裕福さが強調される通りの繁栄に見えました。林立する高層ビル群、道路・鉄道など社会資本の整備は急でしたが、何より印象的だったのは、人々の発散するエネルギーでした。臆することのない言動の一つひとつに自信が満ちあふれているのでした。北京五輪を控えて激しく変わりつつ巨大な国家を体感する思いでした。
∋ 静岡新聞の国際面に「中国 穀物輸出に関税 食品高騰で異例措置」という外電が掲載されていました。成長の負の側面であるインフレが忍び寄っているようです。この1月から1年間、小麦やコメ、大豆など穀物と穀物製品8種類57品目に5-25%の関税を課して輸出を減らそうというのです。この動きが国際市況、なかんずく輸入国に影響を与える可能性を指摘しています。中国が咳をすると、日本が風邪をひく?
∋ 食料自給率40%割れが報道されたのは、つい4カ月前のことです。経営効率化の掛け声とともに、小規模農業の衰退がつとに危惧されてきました。自給率の低下は構造的な現象ではないでしょうか。地球温暖化など環境要因も食料生産に暗い影を投げかけています。いっとき議論となった食料安全保障ですが、このところ耳にすることが少なくなりました。農は国のおおもとと言います。国家レベルの真剣な対応と同時に、私たち自身が食と地域再生を切り離せぬテーマとして考える時期にきているのではないか。農業の新しい方向のことです。
∋ 地方が知恵を求められています。富士地域の特産品を掘り起こす「富士ブランド認定事業」に取り組む富士商工会議所が今月、初めて認定品を海外でPRするという地域版の記事に注目しました。工業製品とともにグルメ、農林水産品の販売に取り組むようです。富士山静岡空港の開港も視野に入ってきました。観光客誘致はもちろんですが、このような地域発のアイデアは商品開発を伴います。世代を超えて住民を巻き込み地域を活性化、再生させるきっかけになることは間違いありません。地方が、自ら、直接情報発信するチャンスでもあるのです。
∋ “入超の大国”は、受動的な姿勢が目立ちました。おっとり構える呑気大国の帰結として、農業のような基幹産業が停滞しては長期的な繁栄はあり得ないはずです。地域の限界集落化を手をこまねいて眺めているわけにはゆきません。
(鮟鱇)