∋ 徹夜の作業です、若いとはいえ体にこたえたでしょう。子育て世代の情報・交流サイト
「ぱぱままにゅーす」を担当する同僚は、それでもパソコンの画面に食らいついています。開設から半年弱、多くの支持と期待に応えるために、全面リニューアルを実行しました。コンテンツの拡充はもちろん、ジャンルごとに帯のデザインの色を変えるなど、全般にカラフルに、さらに親しみやすくなりました。
∋ 育児に四苦八苦した当時を回想しながら、よく目を通すのはコラム「あすなろ」です。子どもの成長を願う親としては、関心の赴くところは「健康」です。時に切迫した場面なども想像させる家庭内の様子が、率直に綴られています。子どもは、けがや病気と無縁でいられないのです。ですから、サイト内アンケート「子どもの急病、どうしています」の集計結果に注目しているところです。
∋ 大型連休、さあ家族レジャーとなるのですが、この時期には静岡新聞地方版や市の広報誌の休日当番医の情報を丹念にチェックしていたものです。行楽気分に浸ろう、そんな時に限って熱を出したり腹痛を起こしたりします。自家中毒ですっかり衰弱した幼い息子の、痩せた甲にわずかに浮き出た血管。残虐なほどに太い注射針が打ち込まれました。いたたまれず顔を背けた記憶があります。子育ての危機管理上、連休は要警戒なのです。
∋ 遅まきながらベストセラー「博士の愛した数式」を読みました。小川洋子作品は芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」 以来です。発売当初から反響は大きく、本屋大賞を受賞したり映画化されたりと、純文学作品としては稀有な大トピックでした。広範な読者の支持を集めただけあって、読後感は爽快でした。
∋ 交通事故の後遺症により80分しか記憶が持続しない天才数学者の博士、彼のもとに派遣された家政婦とその息子が主要な登場人物で、彼らの関係、行動が、まるで水彩画のごとくに淡々と抑制的に描かれます。修飾を排した文章が、不思議な感動をもたらします。寛容、許容、慈愛といった肯定的な価値が基調を占めるため、作品が明るいのです。特に博士と息子のやりとりからは、対等の人格として敬い合う姿勢がくみ取れます。
∋ 同等の人格を認め合うといっても、それほど容易ではありません。教育が施される以前の幼児は、やはり躾の対象ですし、理屈や道徳を超えた行動をとることも珍しくありません。親にしてみれば、わが子は一種の所有物だとの潜在的意識があるかも知れません。これが、理不尽な子ども虐待につながってゆきます。残虐な事件が報じられない日はありません。
∋ 子育て世代は、時に不安や悩みを抱えます。苦悩しているのは自分だけではないのだ、という思いは支えになるものです。悩みはもちろん、喜びも含め同世代が共有できれば、よりよい知恵も出てくるはずです。親が、同志として子どもとともに成長を遂げてゆく。リニューアルしたサイトが、その手伝いをできれば、と記事の更新に没頭する同僚も願っているはずです。万葉の歌人山上憶良は、「銀(しろかね)も金(くがね)も玉に何せむにまされる宝子にしかめやも」と詠いました。子どもへの愛といえば真っ先に浮かぶ名歌です。
(鮟鱇)