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Webコラム一灯

 フォア・ザ・チーム

2008/08/27

   そろそろ運動会・体育祭の季節です。地域でも恒例の行事になっています。自治会単位などで催され、関係者は準備に余念がないことでしょう。ご多分にもれず少子高齢化の影響で、選手集めは共通の悩みのようです。ハイライトとなる学区や町内会対抗リレーのチームを編成できないなどという話は寂しい限りです。なにせ男女、年代を超えてバトンをつなぐわずかな時間は密度が濃く、興奮するものなのです。

   渋々参加の選手で構成する急造チームが思いもかけぬ善戦をすることがあります。後の腰痛が怖いとしり込みしていた知人が、綱引きに参戦してハッスルし、あまつさえ予測を裏切って決勝まで勝ち進みました。優勝こそなりませんでしたが、実に素直な喜びようでした。ひ弱にみえた“組織”に、意外な力が宿っていたということでしょう。

   なにかと評価がかまびすしい北京五輪で、記憶に残ったシーンは、要するに明快です。気恥ずかしいのですが、感動や共感があるのです。当サイトの五輪特集記録速報ページで振り返ってみました。陸上男子四百メートルリレー、日本が銅メダル。トラック種目で日本が世界に伍してゆくのは至難だとされてきましたし、過去の実績もその通りでした。男子では史上初という快挙だそうですが、個々にはメダルを取れなくても、4人がまとまったチームとして成果を挙げたことに意義があります。36歳、仲間から「お父さん」と慕われるアンカー朝原選手にメダルを、という若い選手たちの思いが結実したのだと報道されました。競技場にすむ神のおかげか、えもいわれぬ力が作用したことだけは間違いなさそうです。

   同じく銅メダルの競泳男子四百メートルメドレーリレーも圧巻でした。世界新、五輪新で連続2冠を達成した北島選手というスーパースターを擁したことがもちろん寄与したのでしょうが、かのフェルプス選手を相手に回しても臆することなく泳ぎきったように、4人の結集なくして得られなかった栄冠です。自らの百で最初の金を得て感極まって絶句した北島選手の、リレー銅直後の表情が実に素晴らしかった。風格の笑顔は、友とともに、同志とそろってつくった歴史にはまた、違う重みがあることを語って雄弁でした。鉄腕投手を肩車して歓呼にこたえる女子ソフト優勝の面々の影で、プロで固めながら不振を極め背中を丸める野球チームの姿にも考えさせられました。

   プロ野球でも、資金力を背景にスター級をかき集めれば優勝できるとは限りません。このところのペナントレースをみれば歴然です。企業でも団体でも、成員が優秀なのに越したことはありませんが、個々の力が単純に加算されればよいのか。仕事は、よい“作品”を生もうという働き手の意志を反映します。作品とは何か。働く現場に存在したことの証(あかし)であり、そこに没頭しようとした動機そのものです。この動機が確かなら、メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮するはずです。日本人の集団主義などと誤解され排斥されるような価値ではない、チームとしての強さだと思うのです。

   (鮟鱇)




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