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Webコラム一灯

 地元愛

2010/01/06

  静岡県内では、旧東海道沿いに老舗が軒を連ねる商店街があります。商業活動の一等地だったでしょうが、シャッター通りが多いように見うけます。人の往来は少なく、本来なら書き入れ時の日曜などは寂しさひとしおです。活気を取り戻そうと、工夫を凝らしていることはよく分かります。昔ならさしずめ提灯の列でしょう、ささやかなイルミネーションを点灯して夜を彩ったりしています。なじんだ商店街ならではの風情です。

  藤枝市ではこの正月、地元の私立高校のサッカー部が県代表として全国選手権に出場したこともあって、応援のペナントや幟が両側に掲げられていました。残念ながら4強に残ることはできませんでしたが、スポーツ競技、特に学校体育が街にもたらす効果はよく知られる通りです。生徒はもちろん、父兄も、近隣も熱が入るからです。

  焼津市にある県立の水産高校の流通情報学科3年生が、模擬会社形式で運営する水産品小売店が6回目を迎え市民にすっかり定着している、という記事がありました。駅前通り商店街の旧店舗が会場でした。先輩から引き継いだ暖簾(のれん)を守っているわけで、その際のテーマは「地元愛」だそうです。購買客となる住民も、「地元の子たちが頑張っているから」と生徒が開発した水産品、実習品などを求めてゆくといいます。

  同じ高校の生徒が大学生と共同で沼津市の漁村を現地調査、住民からの聞き取りなどを行い活性化策を提言したそうです。記事が出たのは昨年夏のことでした。漁業と観光の連携など若者の視点からのアイデアに関心が高かったようです。

  藤枝市と信用金庫、商店街などが空き店舗への出店を目的にした組織を近々スタートさせるとか。これまでも商店街活性化の試みは各地で行われ、空き店舗活用などに取り組んできましたが、今回注目されるのは金融機関が連携していることです。地元支援に信金が手を挙げ、出店が進み、“強い商品”が開発されるなら実質的な成果となります。理念と同時に、“実”が肝要なのです。

  幼い日からなじんだ商店主と客が絆を維持することはもちろん、新たな関係を築くことが必須です。このデフレ時代、ただでさえ固い財布のひもです。消費者の目は肥え、その品定めにたえるのは容易ではありません。激烈な価格競争に身をさらして生き残らなければならないのです。“商う”とは、本当に難しい行為です。だからこそ知恵のしぼり甲斐もあろうというものです。若者のエネルギーやアイデアが寄せられるような環境を用意するのもサバイバルの一環と言えます。「地元愛」も待っていてやって来るものではないからです。

(鮟鱇)




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