
原油高が長期化する中、影響がガソリンなどの石油製品だけでなく、日用品にまで波及してきました。大手をはじめとする製紙会社が相次いでこのほど、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなど家庭紙の卸売価格を値上げする方針を明らかにしました。大手の日本製紙グループのクレシアは値上げ率を「25%以上」とし、7月18日出荷分から実施すると発表。他の大手も20-25%程度のアップを表明しています。値上げ率がこのまま小売価格に反映されれば、現在、店頭で売られている200―250円のティッシュペーパー5個パックが、50円程度値上げになります。原油高により、生産に使う重油やパルプといった燃料や原材料価格が高騰していることが要因に挙げられますが、各社が値上げに踏み切った理由はどうやらそればかりではないようです。背景を探りました。
「『適正価格』への復帰」 メーカー
「世界中で日本ほどトイレットペーパーが安い国はない」。こう話すのは、紙のまち・富士市で再生トイレットペーパーを生産する会社です。この会社でも、8月1日出荷分からトイレットペーパー(12ロール)の卸売価格を15-20%値上げする方針を打ち出しました。
ここ数年、ドラッグストアなどの量販チェーン店で家庭紙の安売り競争が再燃。トイレットペーパーやティッシュペーパーは「安売り商品」として消費者に定着しました。大手の製紙会社が昨年辺りから生産量の拡大に転じ、需給バランスが崩れたことも、価格競争に拍車をかけました。原油高騰も追い討ちとなり、「企業のコストダウン努力が追いつかない状況になっている」と、この会社は言います。
同社では、昨年以降、4回にわたって卸売価格の値上げを試みましたが、思うような成果を挙げられなかったといいます。「5回目となる今回は他のメーカーも思い切った値上げを表明しているので、ようやく適正価格まで戻れるのではと安心している」と期待します。消費者に対しては、「数年前の価格水準に“戻る”という感覚で受け止めてもらえれば」と理解を求めています。
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販売価格への転嫁には慎重 小売り店
原油高騰の影響で思い出されるのが、1973年の第1次オイルショックによるトイレットペーパー騒動です。トイレットペーパーがなくなるとの噂が口コミで広がり、買いだめに走る消費者が小売店に殺到しました。メーカー側は「今は業界を取り巻く環境がまったく違うのでオイルショックの時のようなパニックは絶対に起こらない」と断言します。当時は石油がなく生産できませんでしたが、現在は価格は高騰しているものの潤沢にあり、国内に入ってこないという状況でもないので、メーカーの生産体制自体には変化がないからです。
静岡市内の量販店によると、大手製紙会社が値上げを発表した直後は、買いだめする買い物客もみられましたが、現在は落ち着いているということです。
また、メーカーの値上げを実施に移しても、「すぐには販売価格に反映させない」との意向を示している店もあります。「『特売』や『チラシの品』などとうたった販売は控える可能性はあるが、いずれにせよお客様には適正な価格で商品を提供したい」と小売価格への転嫁には慎重な姿勢も垣間見えます。
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消費者は…
卸売価格の値上げ率がそのまま小売価格に反映されれば、ティッシュ1箱あたり約10円の値上げとなります。消費者が価格に敏感な「生活用品」だけに、反響は小さくありません。メーカーの値上げ表明への反応を街頭で聞きました。
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ふだん何気なく使用しているティッシュペーパーやトイレットペーパー。「値上げ」という言葉にはつい敏感に反応しがちですが、私たち消費者にとっては無駄遣いをやめて資源の大切さを見直すよい機会なのかもしれません。