
海の奥深くをゆっくりと流れる「海洋深層水」。表層水と混じらず、大気に触れることがないことなどから、きれいで栄養分を多量に含んでいるのが特徴です。豊かな「資源」である海洋深層水を活用しようと、全国各地の海域で取水され、研究が進められています。県内でも焼津市の駿河湾沖でくみ上げられ、水産に、食品に、エネルギーにと、さまざまな分野での活用が広がっています。
焼津市は深層水の新たな利活用法の1つとしてこのほど、深層水のタラソテラピー(海洋療法)施設をオープンしました。深層水を利用した海洋療法施設は全国的にも珍しく、注目を集めています。
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焼津市が焼津新港の南側に建てたのがタラソテラピー施設「アクアスやいづ」です。施設名は“アクア(水)”と“明日”を合わせた造語。鉄筋コンクリート3階建ての建物は、海に浮かぶ船をイメージしています。施設内には20メートルのプールや気泡浴などがあり、一面ガラス張りの窓からは青々とした駿河湾を眺めながら泳いだり歩いたりと、思い思いにトレーニングすることができます。
使用する水は、隣接する取水施設から直接引き込んだ海洋深層水。海藻パックや全身シャワーなどにもふんだんに活用され、リラックス感を味わうことができます。
市は「市民の健康増進」を建設の大きな目的に挙げています。オープンして1カ月余りが経ち、1日の平均利用者は約400人、会員は1000人を超えました。
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平成13年に県の取水供給施設が完成し、深層水の利用がスタートしてから5年。3年前の平成15年には焼津市による脱塩施設(塩分を取り除いた脱塩水などを提供する施設)もでき、飲料用に適した「駿河純水」やマグネシウムなどの濃度が高く、食品加工などに適した「駿河硬水」など、4種類が給水できるようになりました。給水施設には市民や水産業者などが次々と訪れ、多い日で約200人の利用があるということです。
「漁業の町」にふさわしく、水産加工品を中心に現在、約300種類が「深層水ブランド」として商品化されています。低温性・清浄性を利用し、魚介類の鮮度保持や色落ち抑制に効果があるとされるほか、たんぱく質(うま味成分)を逃さないなどと言われ、深層水の特性を生かした商品づくりが活発に行われています。野菜の栽培や入浴剤、肥料などにも活用されています。
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焼津特産の「黒はんぺん」にも深層水は利用されています。市内のある店は「せっかくある地域資源なので“地のもの”にこだわっておいしいものを作りたい」と、地元・小川港で水揚げされたサバとイワシをすりつぶした後、デンプンを溶かした深層水を加えています。市の給水開始時から利用し、全塩濃度が約10パーセントの塩辛い原水を毎日脱塩施設にくみに行っているということです。
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脱塩施設や観光用のミュージアム、そしてアクアスやいづを整備してきた焼津市。深層水の具体的な効能はいまだ研究段階ですが、解明が進めば新商品の開発、さらには健康・医療分野など新規産業の創出にもつながると期待しています。
一方で、地域資源である「海洋深層水」をまちづくりの“核”としても位置付け、焼津港を中心に人、モノの交流による地域活性化を図っていきたい、と今後を展望しています。
市は「海洋深層水利用研究会」を設置し、「産・学・官」一体で調査研究を積極的に行っています。「駿河湾海洋深層水ブランド」のPRなどに努めている県の「利用者協議会」とも今後、組織を1つにまとめ足並みをそろえていく方針です。
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海洋深層水のさらなる利活用の促進には、なぜ体に良いとされるのか、どのように作用して食品がおいしくなるのかなど、具体的な効能を科学的に解明することが急がれます。新規産業につなげるためには、深層水事業に参入する企業や団体への行政による支援を、一層強化していく必要性も感じました。
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