
今年、注目すべき現象として指摘されるのが「2007年問題」です。第一次ベビーブーム世代(1947年~49年生まれ)、いわゆる「団塊世代」が定年退職期を迎え、企業の在り方や年金制度などに多大な影響を与えそうなことから、このように呼ばれています。今年は団塊世代が退職し始める最初の年です。
65歳まで定年を延ばしたり、再雇用制度を導入する企業、団塊世代をターゲットにした事業や商売を打ち出す動きが活発化しています。当の団塊世代たちも「長年の経験を生かした活動をしたい」、または「趣味に没頭し人生をおう歌したい」といった定年後の人生を思い思いに描き、動き始めています。

新春早々、静岡市で開かれたセミナー。そこには中高年の男女35人の姿がありました。セミナーはその名も「団塊創業塾」。団塊世代を対象にした起業セミナーです。主催した公的創業支援施設「SOHOしずおか」によると、50歳以上を対象に20人の定員で参加者を募ったところ、50人以上の応募が殺到、起業への関心の高さがうかがわれました。
塾では、大蔵省印刷局を定年退職後、仲間と印刷技術のコンサルティング会社を立ち上げた吉田秀和さんが、「先輩」として受講者たちにアドバイスをしました。吉田さんは、(1)これに絶対なりたいんだという「情熱」(2)「信念」を持って突き進むこと(3)失敗を恐れずに「決断」をすること-と、自らの経験を振り返りながら起業に不可欠な3つの条件を紹介しました。また、起業には年齢の制限がない、と強調し、受講者の熱意を後押ししました。
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塾に参加していた受講者に話を聞きました。50歳の会社員の男性は「今のうちに外部との人脈を作るなどして準備をしておきたい。最終的には自分なりに何かできればいい。世の中の役に少しでも立てれば」と受講した理由を語りました。また、「定年が引き上げられたとしても、専門職ではないから会社に必ず残れるとも限らない。しかし、決断をいつすべきか非常に迷う」と今後の選択への不安ものぞかせました。団塊世代をターゲットに、昨年産業支援型のNPO法人を立ち上げた70歳の男性は、「高度経済成長、バブル崩壊とあらゆる時代の変化を体験している団塊世代には、ものすごいパワーがある。日本の発展のためにこのパワーを生かさなければならないという気持ちがある」などと団塊世代にエールを送っていました。
塾を主催したSOHOしずおかの小出宗昭マネージャーは「通常の起業相談でも50歳以上の方たちの相談が増えている。定年後のセカンドライフをどう生きるかを、より具体的に考えるようになってきたのでは」と最近の傾向を分析します。
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大都市圏の団塊世代を地方に呼び込もう-こんな取り組みを始めたのは、県内屈指の観光都市である熱海市。同市は昨年9月、「ニューライフ支援室」を設置し、市内定住や他都市との2地域居住を促す試みをスタートさせました。
ニーズ調査の意味も含め、まず市が企画したのは、都市圏の団塊世代を対象にした「住まう熱海 体験ツアー」。温泉を使った健康法や釣り、干物づくりなどの体験会を開きました。昨年11月の1回目のツアーでは、東京都や神奈川県から14人が参加しました。より具体的な呼び水として企画したのは「分譲地の見学」。海が見渡せる市郊外の高台の分譲地に参加者を案内し、自然豊かな同市の良さをアピールしました。すぐ契約とまではいきませんでしたが、参加者からも概ね好評で、市も手応えを感じたようです。ツアーは1、2月にも開催されることになっています。
同市は今後、「住民や商店街などとも協働して熱海に迎える環境を整えたい。ゆくゆくは若い世代の人口の増加も図りたい」としています。厳しい財政事情の中、地域の活性化を模索する熱海市。団塊世代を「アクティブでリッチなシニアマーケット」ととらえ、ラブコールを送ります。
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日本の高度経済成長を支えてきた団塊世代。時代の「変化」に対応してきた彼、彼女らには、常に「実行力」が求められてきたといえます。定年退職後も仕事を続ける、趣味を生かしながら悠々自適に過ごす、ボランティア活動に打ち込む-など、さまざまな選択肢があると考えられますが、バイタリティあふれる彼、彼女らのチャレンジ精神は、若い世代にとってもきっと良い刺激になるはずです。