
全国各地で学校給食費の未納問題が深刻化しています。2005年度のデータを見ると、未納の総額は全国で約22億3000万円。県内でも公立小中学校の約42%にあたる344校に未納世帯があり、総額は約3500万円に上ります。未納額は昨年度分を合わせれば、さらに膨らむこと必至です。家庭の事情などで支払えない例もありますが、支払う能力があるのにもかかわらず滞納している保護者が多く、ついには法的措置に踏み切る自治体も出てきました。決して見過ごすことのできないこの問題を考えます。

県教委の05年度の調査によると、未納の児童・生徒数は1490人で、全体の0.5%を占めていることが明らかになりました。「保護者の責任感や規範意識の問題」が主な原因とされたのが約70%(1048人)。「保護者の経済的な問題」は約27%(417人)で、支払う能力があるのにもかかわらず、支払っていない家庭が多い実態が浮き彫りになりました。
各自治体の担当者の話では、督促状を出したり、家庭に訪問するなどして支払いを求めても、「家のローンなどもあり、いまは払えない」といった言い訳や「義務教育なのになぜ払わなければいけないのか」という筋違いの主張、はたまた「息子には給食を出さなくてもいい」などと開き直るケースまであるということです。

再三の督促にも応じない滞納者には、より厳しい態度で臨む自治体も出てきました。滞納率が2.0%と県内で最も高かった御前崎市は5月下旬、23世帯を対象に簡易裁判所に支払いの督促を申し立てました。
今年初め、「法的措置も辞さない」と強い姿勢を打ち出した島田市。調査では、支払う能力がありながら滞納している世帯が68世帯、総額は約500万円に上ることが分かりました。徴収を強化した結果、5月下旬までに21世帯が全額を支払ったということです。市は依然、納付に応じない世帯などに対し、7月にも簡易裁判所への支払い督促申し立てに踏み切る構えで、「逃げ得は許さない」方針を表明しています。

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給食費と同じく、全国的に問題となっているのが保育料の滞納です。事態を受け、厚生労働省は初めて全国の実態調査に乗り出す方針を決めました。県内でも本格的な対策に踏み切る自治体が目立ち始めています。
市税や国民保険料など約138億円(2005年度末)の滞納金が重くのしかかる浜松市。同市は今年度から、滞納金徴収の専門部署「債権回収対策課」を新設しました。取り扱う債権の中には、総額約1650万円(今年1月24日現在)にも上る保育料の滞納金も含まれています。6月下旬から約2カ月間、「保育料の徴収キャンペーン」を展開し、担当の保育課や各区役所とも連携して回収を強化していく方針です。


保育行政に詳しい静岡英和学院大学人間社会学部の大島道子教授は、保護者のモラル低下を指摘する一方で、家庭が抱えるさまざまな事情に対応できるシステムの整備が必要だと強調します。
大島教授は「保育所は本来、児童福祉施設であり、いろいろな事情があって保護者が子どもを預ける場所」と保育所の役割を位置付けた上で、「民間の保育施設にも預けるなどして経済的負担がのしかかっている家庭や、ネグレクト(放置、放任)などの虐待が見受けられる家庭など、さまざまな理由から保育料を支払っていない例がある。一律に督促などの手段に出るのではなく、行政側には一人一人へのきめ細かな対応をとってもらいたい」と要望します。


ちりも積もれば山となる、ではありませんが、ここまで滞納額が膨れ上がった要因は、これまで厳しい措置に踏み出さなかった行政側の責任もあると思います。効率よく回収を進めるためにも、各課が積極的に情報を交換するなど、横断的な対応が求められます。