
藤枝市文学館が9月29日、市民憩いの場「蓮華寺池公園」の一角に開設されました。藤枝市は作家小川国夫さんをはじめ、作家の故・藤枝静男氏、童謡「月の沙漠」で知られる抒情画家の故・加藤まさを氏ら多くの文筆家、芸術家を輩出した地。藤枝文学を広く発信する資料館的施設の整備構想は1981年、市民運動に端を発します。それから27年の長い時を経て、財源などの課題をようやくクリアし、オープンにこぎつけました。今回の「デジ記者レポート」は藤枝市文学館の開館記念式典の様子、豊富な資料を収蔵する施設概要の紹介とともに、建設に携わった方々の思いを聞きました。

藤枝市文学館は公園内の池のほとりに位置します。既存の市郷土博物館の建物を包み込むように設計され、緩やかに弧を描く形状が特徴です。鉄骨コンクリート造り、一部鉄骨造りの2階建てで、1階には展示室と講座室、子ども学習室、映像コーナーなどが配されました。2階には市民ギャラリーや談話室、資料収蔵庫などが設けられています。
藤枝市ゆかりの文学者、芸術家に関する資料を収集、研究、保存し、後世に伝えることを目的とし、展示にとどまらず、参加型の講座や学習会、情報発信事業も展開します。
展示室は固定的な常設展示はあえて控え、収蔵品などを定期的に入れ替える企画展を重視する方針です。開館記念特別展として11月30日まで、「小川国夫文学展『アポロンの島』から50年」が開かれています。小川さんの代表的著作「アポロンの島」の生原稿をはじめ約150点の著作、原稿などがずらりと並びます。画才も豊かな小川さんの年賀状や漫画なども目を引きます。

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八木勝行文学館長インタビュー
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開館記念式典は9月29日、文学館・郷土博物館前の中庭で行われました。松野輝洋藤枝市長は「感激を新たにしている。皆さんが気軽に、身近に文化・芸術とふれあい、学ぶ場を提供していきたい」とあいさつ。「特に小川文学においてはほかに出るものはない、国内の研究のメッカとなると信じている」と話しました。この後、記念モニュメントの序幕に続き、松野市長、小川さんらによるテープカットが行われ、一般公開が始まりました。式典会場はこの日を待ちに待っていた関係者の笑顔があふれていました。


27年という長い時がかかりましたが、熱心な市民運動の結実としてオープンにこぎつけたことは藤枝文学館の財産と言えるでしょう。
そうした運動に中心的役割を果たしてきた「藤枝文学舎を育てる会」の時田鉦平会長代行の感慨もひとしおです。時田さんはこの施設が未来を担う子供たちが文学とふれあう場となることにも期待しています。記念式典に出席された時田さんにインタビューしました。

藤枝市文学館の顔、とも言える小川さん。自らを「枝っ子」と称し、現在も故郷藤枝市を拠点に孤高の創作活動を続けています。市民講座などで地元への知識還元にも熱心に取り組んでいます。小川さんからも文学館オープンの喜び、今後への期待をうかがいました。


館内はバブル時代に建てられた各地の博物館、美術館の数々のように華美な装飾に走ることなく、シンプルにまとめられています。それ故でしょうか、逆に、とても居心地のよい空間に感じられました。
入館料は郷土博物館と共通で、従来通り大人200円、中学生以下無料。こうした機会に値上げせず、この価格を維持したことは英断だと言っていいでしょう。蓮華寺池公園の散策を楽しむついでに一度立ち寄ってみていただければと思います。
常設展は行わず、企画展・特別展や講座などを随時繰り出す、変化ある施設を目指しているそうです。その当初の意気が果てることなく、出かけるたびに新鮮な文学館に会えることを楽しみにしています。(デジタル編集部 松本直之)