
乳児と親のコミュニケーションを図り、きずなを深める方法の一つとして「ベビービクス」が注目されています。マッサージと体操(エクササイズ)を融合したプログラムで、寺尾俊彦浜松医大学長が名誉会長を務める日本マタニティビクス協会が1991年に提唱し、改良を重ねてきました。同協会によると、親子双方に与える効果が知られるにつれて4、5年ほど前から普及が加速し、公認インストラクターも現在、全国で995人、静岡県内で35人にまで増えてきたそうです。指導現場を訪ねてみました。

ベビービクスのインストラクターは助産師、看護師など医療関係者が過半数を占め、病院などで産後教育の一環として取り上げられるケースが多いそうです。近年は一般の体操教室や自治体の母親・父親講座などで取り上げられるケースも増えています。
長泉町中土狩のリトミック教室では昨年10月にベビービクス講座(全8回)が開設されました。取材に訪ねた1月上旬のこの日は4組の親子が参加していました。暖かな小部屋で、少人数の家庭的な雰囲気の中で講座は始まりました。
5-7カ月の赤ちゃんたちは、初めはそわそわしていましたが、温かな母親の手が素肌に触れ、胸やお尻、背中などを優しくさすられると、すーっと和らいだ表情に変わりました。母親の補助で上体をそらし、背筋などを刺激するエクササイズも笑顔いっぱい。講師が指導し、赤ちゃんの発育状況に合わせて、無理のないペースで進めます。
ポイントは「目を見て」「話し掛けながら」「笑顔で」。この日の講師、原幸子さんは「親子のスキンシップを基本としています。特別な技術が必要なわけではなく、そんなに難しいことではありません」と話していました。

ベビーマッサージ、エクササイズを進めるにつれ、とても穏やかな赤ちゃんの表情とともに、母親たちの表情も徐々に和らぎ、笑顔にあふれていくのが分かりました。
日本マタニティビクス協会本部は「赤ちゃんの体調管理、発達促進に加え、お母さんにとっても効果があることが学術研究で分かってきました。スキンシップを通じて母親の脳内にアルファ波が出たり、一部のホルモンの分泌が促進され、精神的に安定します。育児不安の軽減にもつながります」(スーパーバイザー・安原眞知子さん)と説明します。これまでに30組ほどの親子を指導しているという原さんも「みんなとってもきれいな母親の顔になります」といいます。
講座参加者のママたちは「目を見て、子どもの体に触ったり、話しかけたりする中でうまくコミュニケーションがとれているような気がします」、「ベビービクスをしてあげると子どもが喜んでくれるので、私自身もうれしくなり、ストレスが解消されていく気がします」などと話していました。

広いとはいえない家に家族が肩を寄せ合って暮らし、「おんぶ」「だっこ」「添い寝」「子守歌」などが伝えられてきた日本は、自然とスキンシップにあふれた国だったのではないでしょうか。しかし、洋間での暮らしや小さいうちから子供部屋を与えるなど生活の欧米化で、親子が肌と肌を触れ合う機会は昔に比べて減ってきたように思います。ベビービクスを持ち出すまでもなく、子育てでの「スキンシップの大切さ」は以前から強調されてきたことですが、今回の取材で重要性と意義を再認識させられました。ベビービクス教室は今後、沼津市や伊豆の国市などでも開講の動きがあるようです。親子関係の基本をはぐくむプログラムとして広まっていけばと思います。(デジタル編集部 松本直之)
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■日本マタニティビクス協会 http://www.mb-kyokai.com/