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デジ記者Webレポート

完成、離陸へ最終年度 富士山静岡空港

2008/03/17




 牧之原、島田両市にまたがる約190ヘクタールの広大な敷地に建設が進められてきた「静岡空港」(愛称・富士山静岡空港)の開港まであと1年に迫りました。富士山を望む2500メートルの滑走路からは、北海道、福岡、沖縄、韓国への定期便就航が既に決まり、静岡から全国、世界に新たな動線が生まれることになります。
 開港までのスケジュールや、期待される効果にあらためて注目するとともに、「工事はどこまで進んでいるの?」という素朴な疑問にこたえる現場ルポをお届けします。空港建設現場をバーチャル見学してみてください。400人近い方にご協力いただいたネット・アンケートの結果も報告します。



 1998年度に着工した空港整備もいよいよ最終年度。県は誘導路や滑走路の舗装をはじめ本体工事に72億円、旅客ターミナルビル建設に伴う空港会社への貸付30億円など、空港本体の整備関連で総額127億円を投入し、仕上げに掛かります。8月末までに滑走路など本体部分の整備は完了し、秋には県の静岡空港管理事務所や管制業務に当たる国土交通省の静岡空港出張所も始動します。
 本体完成後に国交省に届け出し、完成検査を受けます。県によると、手続きが順調に進めば今年10月、検査の一環で“一番機”が離着陸することになりそうです。完成した空港設備の一般へのお披露目を兼ねて、11月8、9日には敷地内で「スカイ・レジャー・ジャパン&エアポートフェスタ2008in静岡」が開かれます。空港本体事業費450億円、周辺整備を含めた全体事業費は1900億円(08年度予算分を含む)を投じた静岡県最大のハード事業はクライマックスを迎えます。

※関連新聞記事「完成へ最終年度 着工から11年 08年度県当初予算案」


 


 開港時に就航する航空会社は全日空と日本航空、アシアナ航空(韓国)の3社(3月17日現在)。北海道の新千歳に2往復、福岡に3往復、沖縄県の那覇に1往復、韓国のソウルに1往復が毎日運航されることが決まっています。県は鹿児島、小松(石川県)、松山(愛媛)、成田、海外では中国、台湾などへの定期便就航に向けてセールスに力を入れていますが、県の需要予測106万人を満たす路線規模で開港を迎えるのは困難な情勢です。競争激化、原油高によるコスト上昇などで航空業界は路線の絞り込みを進める流れにあり、新規路線の就航を容易に決断できない背景があります。しかし、富士山を筆頭に豊富な観光資源、世界に誇る産業力などを背景に、「地方空港としては異例の注目を浴びている」(県空港部)ことは航空業界、観光業界の反応にもにじんでいます。開港後のにぎわい次第で大きく伸びる余地は残されています。



 富士山静岡空港の開港スケジュールがどのくらい浸透しているか(認知度)▽開港後にどこへ行ってみたいか(潜在ニーズ)-などを探るため、本レポートに先立ち3月4日から11日までパソコンサイトの「ShizuokaOnline.com」「静岡新聞」と携帯サイト「静岡新聞SBS」でアンケートを実施し、371通の回答が寄せられました。来年3月の開港を知っている人は8割以上、開港後に行ってみたい所としては新千歳(北海道)、那覇(沖縄)、韓国などが上位に並びました。


Q.1 静岡空港が来年3月に開港することを知っていますか?


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 知っていた人が84%を占め、知らなかった人は16%にとどまりました。県内在住者が回答者の81%を占めていることから当然の数値と言えるかもしれませんが、県民への認知は順調に進んでいることをうかがわせる結果となりました。開港を1年後に控えて報道やテレビCMなどを目にする機会も増えてきたことが影響しているとみられます。


Q.2 静岡空港ができたらどこに行ってみたいですか?


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 複数回答可でご意見を聞いたところ、回答者371人中211人(57%)が新千歳(北海道)を選び、以下、那覇53%、韓国35%、福岡25%と就航内定路線が続きました。その他(自由記入欄)には97人(26%)が回答し、ハワイ(21人)、グアム(10人)などの名が並びました。その他のうち「利用しない」「必要ない」という趣旨の意見は17人(5%)。「分からない」は18%でした。

Q.3 静岡空港開港の波及効果が期待できると思う分野は?


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 複数回答可でご意見を聞きました。「県民の旅の利便性向上」が51%で頭一つ抜けてトップ。「海外からの観光客増加」(39%)、「県内産業・物流の活性化」(37%)、「国内からの観光客増加」(30%)と続きました。「国内外からの企業誘致」「静岡県の知名度上昇」はそれぞれ18%、15%でした。その他(自由記入欄)には、開港自体に否定的な意見のほか中長期の空港経営、治安悪化などを不安視する声が40人(11%)から寄せられました。







※プレイヤ-をお持ちでない方は、
ここからダウンロ-ドして下さい。

 アンケート結果からは、富士山静岡空港に対する県民の認知度が上昇し、開港への期待感も膨らんできている状況がうかがえましたが、一方で開港後の空港運営を不安視する声も寄せられました。空港を生かし、伸ばしていくためには何が必要でしょうか。岩崎俊一県空港部長にお話をうかがいました。

 インタビューは、
▽静岡県になぜ空港が必要か(→動画①)
▽今後の就航路線拡大に向けた取り組み(→動画②)
▽県民へのメッセージと行政の決意(→動画③)-の3本立てです。

 岩崎部長は空港発展の鍵は「県民一人一人に空港を身近に感じてもらい、実際に空港を使っていただくこと」と呼び掛け、「県民の皆さんと一体となり、よりよい空港づくりに突き進む」と決意を語りました。





 富士山静岡空港の面積は約190ヘクタール(周辺緑地などを含めると500ヘクタール)。現場ではどのような工事が行われ、どの程度完成しているのでしょうか。動画を交えてレポートします。県主催の現場見学会も行われていますが、競争率が10-15倍になる時もあるほどの人気だといいます。この機会にバーチャル見学をお楽しみください。地図上の見たい場所をクリックすると、そのポイントを紹介する記事にジャンプします。(取材日:2008年3月4日)

 




(1)滑走路(西)

 富士山静岡空港の滑走路は2500メートル。西風の日が多く、8割強の飛行機は滑走路の東から加速し、西へと飛び立つことになりそうです。滑走路工事は西側部分でもっとも進んでいて、仕上げ段階に入っていました。路面は礫(れき)、アスファルトの複数層構造で、厚みは国道の2倍弱、68センチに及びます。 →動画を見る



(2)滑走路(中央)
 滑走路西端から約1キロ東に進むと、景色は一変。滑走路エリア最後の造成工事が急ピッチで進められています。大型ブルドーザーやタイヤの直径が2・7メートルもある90トンダンプなどが頻繁に行き来し、滑走路や航空機誘導路の地盤を築いています。8月中には舗装仕上げが完了する予定です。 →動画を見る



(3)滑走路(東)
 滑走路(西)の一歩手前の工事段階にあるのが、滑走路の東側です。礫などの基礎舗装は完了し、航空灯火に電源を供給する配管工事の真っ最中でした。東端には滑走路末端灯が設置されます。完成時には路肩を含め80メートルの滑走路幅に、22基の灯火装置が並びます。配管終了後、アスファルト舗装が行われます。 →動画を見る



(4)進入灯橋りょう


 富士山静岡空港で主に飛行機が着陸する方向は東から西へ。玄関口となる東側には滑走路の位置、方向を知らせる進入灯が設置されます。設置場所に深さ50メートル近い谷が2カ所あるため、鉄橋が架けられました。滑走路の東端から30メートルごとに900メートルの位置まで、灯火装置が取り付けられます。 →動画を見る



(5)エプロン

 エプロンは飛行機が駐機し、旅客を乗せたり、給油や整備を行うスペースです。08年1月に完成しました。幅約280メートル、奥行きが約190メートルあり、300人乗りクラス2機、200人乗りクラス1機、100人乗りクラス2機が同時に駐機できます。航空機の重量に耐え得るよう、厚さ37センチのコンクリート舗装が施されています。 →動画を見る



(6)ターミナル周辺
 主要設備が集中します。旅客・貨物ターミナルビルや管制塔、給油施設、航空灯火の電源制御などを行う電源局舎、化学消防車3台などが配備される消防庁舎などが並びます。管制塔は3月に建物は完成し、秋までに内部整備も完了する予定です。駐車場は2000台分(無料)を整備中です。整備予定の貨物ターミナルは設置主体、着工時期ともに調整中で、開港には間に合わない見込みです。早期整備は今後の大きな課題と言えそうです。 →動画を見る



(7)アクセス道路


 富士山静岡空港へのアクセス道路は牧之原・金谷ルート、島田ルート、榛原・吉田インタールートの整備が進められています。3本のルートは空港手前で合流し、約1キロの最終アクセス道路を通ってターミナルビル、駐車場などがあるロータリーに流入します。片側2車線の最終アクセス道は開港目前の09年1月末~2月上旬に完成予定です。 →動画を見る







 現場を半日掛けて取材した感想はまず「すごく広い!」、そして「もうこんなに出来ているのか」という驚きでした。管制塔やエプロンが姿を現し、現場はすっかり飛行場の風景になっていました。これから夏に掛けて工事は急ピッチで進みます。10月には検査のための“一番機”も離着陸し、事実上の“開港”を迎えます。
 静岡空港はこれまで、無駄な公共事業の一例として報道されることもありましたし、存在の是非は長く議論されてきました。今回のアンケートでも少数ではありましたが、いまだ開設を疑問視する声もありました。そうした心配は杞憂だったといわれるような成長、発展を願うばかりです。
 そのためには、空港をいかに活用するか、いかに投資効果を最大限に引き出していくか、開港に向けて、もっと前向きに、十分に、知恵を絞ることが重要でしょう。
 
航空業界が便数の絞り込み、地方路線の縮小をそろって進める流れの中にありながら、富士山静岡空港が国内外から異例の“注目”を浴びていることは事実です。
 開港までの1年、そして開港後、
“注目”だけに終わらせない戦略展開が求められることになります。(デジタル編集部 松本直之)

 

 

 ※アンケートにお答えいただきました方々にこの場を借りて御礼申し上げます。今後ともご協力よろしくお願いいたします。

 

 ※静岡空港関連ニュースのバックナンバーは静岡新聞サイトの特集「静岡空港」でご覧になれます。




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