蒸し暑い日本の夏を快適に過ごすために団扇(うちわ)は欠かせない。手軽で涼しいだけでなく、おしゃれだ。涼しげな素材である竹を用いた数多い工芸品の中でも、団扇や扇子の人気は廃れていない。
今や高等学校にもエアコンが施設される時代である。窓を開けて風を入れたり、日差しを遮るよしずや簾(すだれ)を用いたりする工夫よりも、スイッチを入れる方が簡単だ。しかし、クーラーの害に悩む人が意外に多い。お勧めはエアコンを弱目にして、一緒に扇風機や団扇を使うことで、体感温度を下げる方法。
高松塚古墳の壁画には団扇を持つ女性が描かれていて、その歴史は古い。蚊やハエを追う時や、かまどの火をあおぐのにも使われた。盆踊りにも欠かせない。浮世絵に描かれた蛍狩り、花火見物、夕涼みなどの絵では、必ず浴衣姿の美人の胸元を飾っている。団扇の絵柄や素材、形などをシチュエーションに合わせて選ぶのも粋である。クールビズだ、地球温暖化対策だといえば無粋だが、実用性が高いだけでなく、情緒があるのがうれしい。
(富士常葉大学教授)
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▼山田辰美(やまだ・たつみ)氏 1952年、藤枝市生まれ。NPO里の楽校理事長、富士学会監事などを務める。川や里山などの生態研究や環境教育の最前線に立つ。
山田辰美氏が生活の中で自然と触れ合うヒントを連載したコラム「山田辰美の自然だいすき」は静岡新聞の金曜
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