田んぼは実に豊かな生き物をはぐくんでいる。日本では山から流れ出る川があっという間に海に注いでしまうが、田んぼのための水利が貴重な水辺環境を造ってきた。それによって、多様な生き物の織り成す豊かな自然が身近にできたのだ。そして、日本人にとってそこは大切な原体験の場でもあった。
理科の「理」という字は、玉、宝物を意味する王偏に、田と土でできた表意文字である里を書く。「大いなる自然の法則は里や田んぼで泥んこになって学ぶべきだ、自然界の理(ことわり)は身近な所にこそある」と教えている。最近の子どもは田んぼで泥んこになることを知らないが、そこにはクリーミーな泥の心地よさだけでなく、まゆをつり上げて目を輝かせる世界がある。田んぼの抱えている生き物の豊かさに驚かされる。メダカやドジョウ、赤トンボやタガメ類、カエルもナマズも田んぼで生み出されている。田んぼが本来持っていたこの力を再生しようという試みに私は夢中になっている。(富士常葉大学教授)
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▼山田辰美(やまだ・たつみ)氏 1952年、藤枝市生まれ。NPO里の楽校理事長、富士学会監事などを務める。川や里山などの生態研究や環境教育の最前線に立つ。
山田辰美氏が生活の中で自然と触れ合うヒントを連載したコラム「山田辰美の自然だいすき」は静岡新聞の金曜
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