SBSラジオで宮沢賢治「よだかの星」を紹介したところ、反響があった。「雨ニモマケズ」の詩、「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」などの童話で知られる賢治の人気はすごい。生前にはほとんど認められなかった無名の詩人が、わずか半世紀の間に日本の文学史に欠くことのできない存在となった。賢治は科学者でもあり、教師でもあり、童話作家でもあった。多様な才能を持ち、独自の世界をつくり上げている。
星の輝く無限の宇宙から、雲や風などの気象、草花や木々、鳥や獣などの生物、足元の石ころにまで心を通わせる。自然のすべてのものに輝きを見出すことのできる生まれながらの詩人なのだ。科学文明の急速に発展する近代社会の中で、理科系の頭脳を持ちながら、豊かな感性と深い人間愛で人々の本当の幸せを考えていた。
感傷にふけるだけの文学者や小難しい論理に酔う理論家ではなく、みんなの幸せを心から願い汗水流す実践家である。そこに、彼のすごさがある。「ソンナ人ニ私ハナリタイ…。」
(富士常葉大学教授)
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▼山田辰美(やまだ・たつみ)氏 1952年、藤枝市生まれ。NPO里の楽校理事長、富士学会監事などを務める。川や里山などの生態研究や環境教育の最前線に立つ。
山田辰美氏が生活の中で自然と触れ合うヒントを連載したコラム「山田辰美の自然だいすき」は静岡新聞の金曜 |