今年の里山はドングリが豊作だ。これなら腹をすかしたクマが里に下りてきて、人々を驚かせることはないだろう。ドングリが樹木の種子であることは知ってるよね。種子散布の形式が重力散布、つまり、童謡に歌われるように「ころころ」と単純に転がることで広がっていく。でもこれでは、山の斜面を下るばかりで、高い方へ広がれない。実は、森に暮らす多くの動物の大切な餌であることが、この樹木の繁殖に大きな役割を果たしているようだ。
ドングリを食料として当てにしている動物の中でも、ネズミやリスなどの獣、カケスなどの鳥は、林の土の中に小分けして埋め、少しずつ食べて冬をしのいでいる。こうした動物が埋めたドングリの大半は冬越しの間に食べられるが、春までに一部が余って食べ残される。これがお母さんの樹から離れた所で発芽して、次の世代の森を作っていくようだ。実際に、落ちたドングリは乾燥に弱く、速やかに発芽能力を失うことが多い。動物たちの貯食によって、この乾燥から守られているんだよ。(富士常葉大学教授)
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▼山田辰美(やまだ・たつみ)氏 1952年、藤枝市生まれ。NPO里の楽校理事長、富士学会監事などを務める。川や里山などの生態研究や環境教育の最前線に立つ。
山田辰美氏が生活の中で自然と触れ合うヒントを連載したコラム「山田辰美の自然だいすき」は静岡新聞の金曜日夕刊に連載中です。SBSラジオ「山田辰美の土曜はごきげん」は毎週土曜日午前7時から放送。
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