羽根突きの羽根の黒い玉は、ムクロジという樹木の実であることを知っていますか。神社や公園で拾えるあめ色の実を割って取り出した真っ黒な種は、硬くて羽子板でつくとよい音を立ててよく跳ねる。ムクロジは「無患子」と書き、元気にはねまわる子どもを表している。近所の陽だまりで、羽根突きする子どもの姿を見かけることがなくなったが、真冬でも外に出て、元気に遊んでほしい。
実は、昔の人は子どもの病気の原因となる蚊の天敵がトンボであることを知っていたらしく、羽根の飛ぶ様子がトンボに似ていることから、羽根突きをするようになったと考えられている。羽根を落とすと顔に墨を塗られるのも、ゲームとしておもしろいというだけでなく、昔の塗り薬が黒かったことと関係がある魔よけだったらしい。正月の羽根突きには病などの邪気をはらい、元気に育つことを祈るという意味があり、江戸時代に子どもの健康を願って羽子板を贈る風習も生まれたようだ。子どもに与える遊具にも、親の願いが込められていたんだね。
(富士常葉大学教授)
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▼山田辰美(やまだ・たつみ)氏 1952年、藤枝市生まれ。NPO里の楽校理事長、富士学会監事などを務める。川や里山などの生態研究や環境教育の最前線に立つ。
山田辰美氏が生活の中で自然と触れ合うヒントを連載したコラム「山田辰美の自然だいすき」は静岡新聞の金曜日夕刊に連載中です。SBSラジオ「山田辰美の土曜はごきげん」は毎週土曜日午前7時から放送。
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