韓国ソウルの大都市で復元した河川を視察する機会があった。この事業は、第17代大韓民国大統領に就任した李明博(イ・ミョンバク)氏がソウル特別市市長当時に、公共交通システムの再編、ソウルの森の造成などとともに実現したものである。経済成長に伴い都市の下水道と化した清渓川(チョンゲチョン)の蓋をはがし、その上を通る高架道路を撤去した。日本ではありえないことであるが、2003年からわずか2年数カ月という手際良さで、大気汚染やヒートアイランド化が問題となっている都会の中に、2キロにわたり涼しげで心地よい水辺をみごとに現出させ、世界を驚かせた。
くみ上げた地下水の放流などの水質浄化対策やあらゆる親水施設の整備を行った結果、市民の憩いや新たな観光のスポットとなっている。それは膨大な経費とエネルギーに依存する人工河川であり、自然生態系の再生とは別の印象であった。徹底した合理主義と都市工学の産物であるというものの、都市の景観を和らげ、人々が憩う水辺の快適性や好感度など、あらためて河川の持つ環境改善の効果の大きさを実感した。(富士常葉大学教授)
 |
▼山田辰美(やまだ・たつみ)氏 1952年、藤枝市生まれ。NPO里の楽校理事長、富士学会監事などを務める。川や里山などの生態研究や環境教育の最前線に立つ。
山田辰美氏が生活の中で自然と触れ合うヒントを連載したコラム「山田辰美の自然だいすき」は静岡新聞の金曜日夕刊に連載中です。SBSラジオ「山田辰美の土曜はごきげん」は毎週土曜日午前7時から放送。
|