故郷藤枝市に在って、孤高の創作活動を続けた小川国夫氏。難解といわれる作品群は、 青春の漂泊の時代にさまよった地中海、精神の巡礼の指針となった聖書、そして原風景と 自ら言う大井川河口など駿河湾西岸の風土という3大テーマが重層的につながって形成さ れてきた。研ぎ澄まされた視覚と聴覚は、人の心の深奥をとらえてきた。小説の題材は、「故郷の言葉に聞く」ことに尽きると説 き、そのために、母国語がある藤枝に住むのだと明快に語った。小説、エッセーの作品群は もちろん、人々に語りかける言葉には治癒力が凝縮している。小川作品は日本文学に独自 の位置を占め、2005年末には芸術院会員に選ばれた。小川国夫氏は2008年4月8日、逝去されました。つつしんで哀悼の意をささげます。
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