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おとな派 読み物

【寄稿・わが至福の時】「ゆったり歩きで秋山満喫」

2006/11/14


 

(写真1)山犬段から大札山(左)を望む

 11月7日の立冬を過ぎて暦どおり冬の訪れを告げる寒波がやってきた。例年に比べ特に10月が暖かかっただけに寒さが身に沁みる。あちこちから雪の便りが届き、富士山も冬の姿に衣替え。高い山は登山者を拒む態勢に入った。そんな11月の初め、妻と娘を誘って川根本町の大札山(1,374メートル)と蕎麦粒山(1,627メートル)に秋山の最後を楽しんだ。
 どちらの山も林道赤石線の登山口から山頂まで40分ほどで、子供連れでも楽しめる軽ハイクのコースとして人気がある。県立自然公園特別地域に指定されており大札山では4月にアカヤシオが、5月には蕎麦粒山とその周辺でシロヤシオが見事な花を見せる。秋の紅葉も見応えがある。訪れた日は色づいたモミジやブナなどが最後の輝きを放っていた。


 

(写真2)紅葉の下をゆっくり登る

(写真3)大札山山頂からの南アルプス深南部の展望

 
 山に妻と娘を伴って出かけるのは久しぶりのことでそれは良かったのだが、ちょっと心配もあった。2人とも膝を痛めていたからだ。妻は日本百名山にすべて登るなどこれまでさんざん山歩きをして膝を酷使しすぎたらしい。娘も子供のころから山へ連れて行き、富士山、北岳、穂高岳、間ノ岳、槍ヶ岳のわが国の高山ベスト5に登るなど山登りは強かったのだが、このところの運動不足がたたったのかちょっとした下りでも膝が痛くなるという。
 静岡から島田経由で大井川に沿って川根本町に入り、林道赤石線を登ること約30分で大札山登山口の駐車場に着く。静岡からは2時間半ほどだ。登山口には登山者のために木の枝で作った杖が置いてあり、妻と娘はそれを借りてゆっくりと登山道をたどった。見上げれば真っ赤なモミジが青空に映える。途中、道は2手に分かれるが、どちらをとっても一汗で山頂に着く。山頂には大無間山など南アルプス深南部の山々の展望が広がっていた。


(写真4)蕎麦粒山登山道を赤く染めるモミジ

(写真5)ハイカーでにぎわう蕎麦粒山山頂


 


 
 
 山登りで膝への負担は登りより下りの方が大きい。ゆっくりゆっくりと下ったがそれでも2人とも膝の痛みを訴えた。
 「まったく困ったものだ」と私が言えば「使いすぎて膝の軟骨がすり減っちゃったのよ。これからもこの膝と付き合っていかなければならないんだから大事に使わなくては」と妻。娘はこの夏、竜爪山に登った際、下りで急に膝の痛みが出たという。それ以来、足の筋肉をつける運動をしてきたがまだ効果が出ていないようで「嫌になっちゃう」とがっかりした様子。まだ若いだけに今からこれでは本当に困ったものだが「もっと運動をしっかりやらなくては」と前向きで安心する。  


 

(写真6)秋色に輝く斜面

(写真7)登山道を黄色く染める落ち葉

 

 


 
 大札山から蕎麦粒山までは2時間半ほどのハイキングコースがあるが、今回は膝の大事をとっていったん駐車場に戻り、蕎麦粒山へ最短コースの登山口がある山犬段までさらに20分ほど車で上る。休憩舎も整備された山犬段の広い駐車場は登山者の車でいっぱいだった。
 ここから山頂までの標高差は約200メートル。子供やお年寄りでも十分に楽しめる。山頂は多くのハイカーでにぎわっていた。その中には銀髪の高齢の女性の姿もあった。残念ながら富士山は霞がかかって見えなかったが近くの山の斜面は秋色に光り、1本のモミジが真っ赤な傘を差したように山頂を飾っていた。その下で妻がにぎったむすびを食べ、娘が持ってきたリンゴと柿のデザート。体が冷えてきた頃、携帯コンロで沸かした湯で淹れた温かいコーヒーに大満足。時間はゆったりと流れていた。
 奥大井の大札山、蕎麦粒山にも雪のぱらつく日が間もなくやってくる。

(O.K=静岡市在住)















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