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おとな派 読み物

【寄稿・わが至福の時】「家庭菜園の楽しみ」

2007/06/07



(写真1)わが家の菜園と収穫したジャガイモ(男爵、メークイン)、
玉ネギ、ニンニク
 市民農園、貸し農園が人気を集めているという。大都会ではビルの屋上での野菜づくり、花づくりを楽しむ人が多いと聞く。乾いたコンクリートジャングルの中では、たった一本の木があるだけでホッとする。そんなところに住む人は、ほんのわずかな空間でも緑や土に触れることで心身が癒されるのだろう。
 またアウトドア活動を楽しむ人が増え、自然志向、健康志向、手づくり志向が重なれば野菜づくりに人気が集まるのは自然の流れといえる。定年退職後に手がけたいことの上位に畑仕事が挙げられるのもそんな背景がある。それに昔は家の周りや近くに田んぼや畑があり、常に自然に触れていた。年をとってそんな環境を懐かしむ気持ちもあるに違いない。
 
                     

 

(写真2)一番果をつけたナス。葉が虫に食われ
ている

(写真3)収穫したニンニク

 背景の分析はいろいろできるだろうが、根底にあるのは「緑や土に生命を感じることができるから」なのではないか。土に育まれて成長する野菜、それに群がる虫や鳥。ようやく収穫できた野菜をありがたくいただく人間。どこをとっても生命のドラマがある。そのドラマに感動し、心身ともに癒されるのだろう。
 そんな理屈はさておき、わが家でも4年前から小さな菜園での野菜づくりを楽しんでいる。自宅の庭に野菜をつくれるようなゆとりはなく、幸い近くに35平方メートルほどの用地を借りることができた。妻が主導する菜園で、私自身は棚づくりや土を耕すなどの力仕事を手伝う程度の参加だが、それなりに楽しい思いをさせてもらっている。
 驚くのは、狭い菜園でも工夫次第で四季を通して次から次へと本当にいろいろな野菜が収穫できる、ということだ。年間で30種類は下らない。畑は一年中休む暇がない。堆肥や腐葉土などを入れて土づくりには常に意を払っているが、それにしても豊かな実りをもたらす土の力は素晴らしい。掘り起こすとミミズがたくさん出てくる。ミミズがいるのは土が肥えている証拠だ。突然、地上に放り出されてびっくりするミミズに「ごめんね」と謝りながら耕す。
 ミミズが住んでくれるのはありがたいが、迷惑な虫もたくさん集まる。農薬を使わないとなればその退治に頭を悩ます。「虫もつかないようなものは食べられないよ」「おいしいから虫がつくのさ」と思いながらも、実や葉に食いついた虫をつかまえ「今畜生」と踏みつぶす。残酷だが口に入るのは虫が先か、人間が先かの競争なのだから仕方がない。常に虫が優勢なことは言うまでもないが、こうした虫との戦いも自然との触れ合いの一環だ。

                             


(写真4)まだ青いミニトマト

(写真5)収穫期を迎えた玉ネギ


 

  
 野菜の力にも驚く。サツマイモはツルを植えるだけで数カ月後には大きな芋が収穫できる。ジャガイモも小さな種芋を植えれば何十倍にもなる。キュウリは花が咲いて、あっという間に収穫できる。トマト、ナス、ピーマン、ゴーヤ、オクラ、トウモロコシ、人参、大根、玉ネギ、ブロッコリー、レタス、白菜、ホウレン草、春菊、エンドウ豆、枝豆、ニンニク、ラッキョウ、ショウガ、落花生…まだまだある。
 食卓に乗った菜を指して「これも、これも、わが家の畑で採れたもの」と話す妻の鼻が高い。朝採りの産直。しかも無農薬。どれもこれも実においしい。「いくら今が旬と言っても毎日毎日同じものを食べさせられるのはね」と文句をいうのは贅沢と言うべきだろう。
 ジャガイモ、玉ネギ、ニンニクの収穫を終え、これからは夏野菜が本番。キュウリは一番果を収穫した。自家製の味噌をつけて「ボリッ」と噛むと、初夏の味が口いっぱいに広がった。暑い日の冷たいソーメンの薬味に欠かせないミョウガも間もなく土から顔を出す。枝豆はまだ芽が出たばかりだがビールのつまみに楽しみだ。家庭菜園はやめられない。

(O.K=静岡市在住)



 

       (写真6)掘り出したジャガイモのメークイン        (写真7)キュウリの一番果
                
 (写真8)ゴーヤの花  (写真9)ナスの花  (写真10)キュウリの雌花
                             














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