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(写真1)ヤマハハコ
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秋の山の花を見たくて8月下旬、諏訪湖の北にそびえる高ボッチ山(1665メートル)と尾根続きの鉢伏山(1928メートル)を訪れた。いずれも花の山として、そして北アルプスの展望台として人気が高い。頂上近くまで車で行けることから、だれもが楽しめる身近な花の山となっている。高ボッチ山には冬季、崖の湯温泉から雪道をラッセルしながら登ったことがあり、次は花の時期に訪れたいと思っていた。
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(写真2)マツムシソウ
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(写真3)シシウドが揺れる高ボッチ高原
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花の時期にはちょっと遅かったかもしれないが、残念ながら期待したほどではなかった。花の種類は多いものの、どれもぽつぽつと咲いている程度で一面のお花畑という光景はない。以前、訪れたことのある山仲間の話や山の本などによると、この時期にはマツムシソウの青紫色の花が波打つように草原に揺れていてもいいはずだった。ところが波打つどころか鉢伏山では鉢伏山荘から山頂までの20分ほどの登山道でマツムシソウを1本も見かけなかった。
花が少なくなったのはニホンジカの食害が原因のようだ。鉢伏山荘の関係者によると夜になると数頭のシカが現れて草花を食べていくという。シカが近づかないように夜間、照明をつけるなどしているが効果はなく、お手上げだと嘆いた。地元の塩尻市もシカの被害が広がっているのは分かっているが、今のところ具体的な対策はないという。
高ボッチ山や鉢伏山の山頂付近が草原になっているのはかつて放牧が行われていたため、と地元の登山者が教えてくれた(高ボッチ山には今でも一部牧場が残っている)。放牧が行われなくなっていろいろな草花が復活し、美しい草原がよみがえったことが皮肉にもシカを呼ぶことになってしまったようだ。数年前までは群落をつくったニッコウキスゲも年々姿を消しているという。ニッコウキスゲはシカの大好物だ。「昔は牛の放牧場だったが今はシカの牧場になっている」と地元の登山者は冗談交じりにため息をついた。
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(写真4)カワラナデシコ
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(写真5)アキノキリンソウ
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シカの食害はなにもここだけの問題ではなく全国に広がっている。静岡県でも植林したばかりの苗木が被害に遭っているほか、南アルプスの高山植物も食べられてお花畑が消えている。かつてはニッコウキスゲなどが咲き誇った聖平のお花畑も今は見る影もない。「何とかしなければ」と立ち上がった南アルプス高山植物保護ボランティアの人たちが聖平の一角に柵を巡らせシカから守ったところ、柵の中で見事にニッコウキスゲがよみがえった、という記事をしばらく前の静岡新聞で読んだ。
そういえば奈良県の大峰山に登った時は登山道が金網の柵の中を通っていた。大峰山を代表する名花のオオヤマレンゲをシカから守るためだ。厳重に保護された区域内だけに細々とオオヤマレンゲが残っていた。広大な山域をシカの食害から守るのは不可能なことは分かっている。それでも何とか対策が立てられないものかと無理なことを考える。
野生動物による被害はシカによるものだけではない。サルやイノシシによる農作物への被害も年々大きくなっている。農家や林業家からは「花を守るより生活がかかっている作物を守ってくれ」と言う声が聞こえてくる。
「どうしてこんなに生態系が崩れてしまったのか」「どうすればいいのか」。原因はいろいろあるだろうし、対策を考えてももちろん名案が浮かぶわけではない。山の花好きとして花を守るために少しでも実行できることは何があるだろうか。鉢伏山を下りながら考えたが「登山道を外れて草花を踏みつけないこと」程度のことしか思いつかなかった。
マツムシソウの群落は見られず期待したほどではなかったが草原には赤トンボが群れ飛び、ハクサンフウロ、ウメバチソウ、ハナイカリ、アキノキリンソウ、ヤマハハコ、ヤマラッキョウ、トリカブト、ワレモコウ、ヤナギランなどが秋風に揺れて紛れもない花の山だった。
(O.K=静岡市在住)
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(写真7)トリカブト
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| (写真6)ハナイカリ |
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(写真8)ツリガネニンジン |
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(写真9)筆者の腕に止まった赤トンボ
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(写真10)鉢伏山山頂
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(写真11)ハクサンフウロ
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(写真12)前鉢伏山からの鉢伏山
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(写真13)ウメバチソウ
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(写真14)ヤナギラン
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